請求代行サービスを使うメリット・デメリット
企業にとって欠かせない業務のひとつが請求業務。
請求業務は専門知識が必要なだけではなく、細かい作業が多いため、多くの時間をとられる業務です。
また、事業が拡大して取引先が増えるほど請求にかかる手間が増えるので、請求業務にかかる負担も重くなっていきます。
そのため、請求業務の外注化を検討されている方も多いでしょう。
そこで今回は、請求業務の外注化を検討する際に知っておきたい、メリットとデメリットについてお伝えします。
▼目次
1. 請求代行サービスとは?
2. 請求代行サービスの業務内容
2-1 請求書作成・発行
2-2 与信審査
2-3 督促(代金の回収)
3. 請求代行サービスのメリット
3-1 コストの削減につながる
3-2 担当者がコア業務に集中できる
3-3 属人化の防止ができる
4. 請求代行サービスのデメリット
4-1 依頼する範囲を設定し、業務の切り出しを行う必要がある
4-2 自社にノウハウが蓄積されない
請求代行サービスとは?
請求代行サービスとは、企業間取引で発生する請求書の発行、封入、発送といった一連の請求業務を代行してくれるサービスのことです。
請求業務は書類を目視で確認したり、データを手作業で入力する機会も多いため、人的ミスが発生しやすく、チェックに時間やコストを要します。
人的ミスを防ぐためにチェックを厳重にして、他スタッフによるダブルチェックを行うこともありますが、これには時間も人件費も必要です。
いっぽうで、専門的な知識が必要なわりに、業務に割く時間もかかりますし、売上に直接繋がる業務ではありません。
そのため、企業としては貴重な人材をより中心的な業務に集約したいというのが本音ではないでしょうか。
実際に、請求代行サービスでは業務としてどこまでをやってもらえるのか気になるかと思います。
一般的にどんな業務内容を外注化できるのかについて、見ていきましょう。
請求代行サービスの業務内容
1. 請求書作成・発行
請求書を発行するオンラインサービスは数多くあるので、請求書の作成・発行自体はそう時間のかかるものではありません。
ただし、取引先によって発行タイミングや請求書の送付形式が異なるので、枚数が増えてくるにつれて人的ミスが多くなりがちです。
取引先ごとに毎回請求金額を確定して請求書を作成し、発行や送付といった細かい作業まですべて代行してくれます。
送付方法においても、郵送やPDF送信など柔軟に対応してくれます。
2. 与信審査
一般的に、企業間で後払いで取引をする場合、取引先の支払い能力を確かめる「与信審査」を行います。
与信を審査しないと、商品やサービスの代金が回収できない可能性があるためです。
非常に重要な業務ではあるものの、審査の基準を設定したり、取引先企業の財務状況を調べる必要があるため、非常に手間がかかります。
また、取引先との信用問題が深く関わるので、なかなか一筋縄ではいかないのが現状です。
こういった企業に対する与信審査、反社チェック、限度額の見直しといった業務を請求代行サービスに委託することで、自社が行うべき手間を大きく省くことができます。
3. 督促(代金の回収)
入金確認ができなかった場合にしなければならないのが「督促」(代金の回収)です。
督促の手間は取引金額の大小に比例しないため、少額の督促でも時間がかかります。
そして、督促の連絡を入れることは、担当者にとって大きな心理的負担になります。
取引数が多く、入金遅延の企業が多くなればなるほど、担当者の負担は増えていくでしょう。
その点、請求代行サービスを利用すると、入金催促や督促といったストレスのかかる業務から解放されます。
心理的な影響は本業のパフォーマンスに直結するため、督促業務の負担がなくなることで、社員の生産性向上が期待できます。
請求代行サービスのメリット
続いて、こういった請求代行サービスを利用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、代表的なメリットについてご紹介します。
コストの削減につながる
専門知識をもつ人材の人件費、正確に請求代行を行なうための教育コストが考えられます。
特に、請求書作成、与信審査、督促といった負荷の高い業務がなくなるため、業務にかかわる手間を大きく削減でき、業務の効率化が図れます。
また、審査をする余裕がないために掛売りを諦めていた企業でも、取引先企業の拡大に繋げることが可能です。
担当者がコア業務に集中できる
冒頭でお話しましたが、請求業務には専門知識が必要である一方で、その業務内容は定型的なものがほとんどです。
必ず発生する大切な定型作業ですが、利益に直結しない業務であることも事実。
自社がやるべき業務と、自社でなくても任せられる業務を切り分けることで、余裕を持って業務に取り掛かれるようになるでしょう。
もし今まで営業担当が請求業務を行っていた場合は、営業活動やプレゼン、資料作成など、本来の業務に集中できるようになります。
少額の督促で疲弊することもなくなるので、その時間を営業や商談といった売上に繋がる業務にあてることが可能です。
属人化の防止ができる
請求業務に多くの人員を割くことは難しいため、請求業務に精通した担当者が業務に専念するようになります。
そのため、業務量や業務に関する知識が属人化しやすい傾向があります。
請求業務を外注することで、業務の属人化を解消し、社員への負担を軽減させることが可能です。
請求業務サービスのデメリット
請求業務サービスには、デメリットも存在します。
メリットのほうが大きいように思われる請求業務サービスですが、デメリットにはどんなものがあるのでしょうか?
依頼する範囲を設定し、業務の切り出しを行う必要がある
請求業務サービスはとても便利なサービスですが、依頼を行う前に、どの範囲の業務までお任せするのが、自社にとってベストなのか見極める必要があります。
また、関連する業務との切り分けや、必要に応じて他部門との調整を含めた業務フローの整理を行い、タスクを明確化する必要もでてきます。
これらのことを行うためには、現状の業務フロー全体をある程度把握している必要があり、どの範囲を切り出すべきかを見極める力が必要になります。
サービスによっては、導入コンサルティングとして、これらのサポートを行ってくれる場合もありますが、まずは、大まかな依頼範囲や切り出す業務の設定を、自社内で行う必要があるでしょう。
自社にノウハウが蓄積されない
請求を代行してもらうということは、請求に付随する業務を丸ごと任せるということです。
従来社内で培ったノウハウが残せない可能性がありますし、それ以後のノウハウは社内に蓄積されません。
また、社内での急な対応ができなくなり、有事の際に困ってしまうことも。
請求業務サービスは便利ではあるものの、社内にノウハウが蓄積されず、人材育成ができない可能性があります。
決算代行サービスを上手に活用するために
請求業務サービスには、たくさんのメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。
それらを踏まえて、サービスを上手に活用するためにはいくつかのコツがあります。
・自社にとってどの業務が最も大変なのかを、ざっくりでいいので数値化する(該当業務の時間数など)
・社内関係者で導入にむけたプロジェクトチームをつくり、依頼範囲や切り出す業務についてあらかじめ合意をしておく
・上記のことを自社内で行うのが難しければ、経理業務に精通した、外部のプロフェッショナル人材と契約し、自社にとってベストな切り出し方を考えてもらう(必要に応じて社内ノウハウの蓄積方法も検討してもらう)
サービスの導入前にこれらのことをしっかりと行うことで、より効果的に請求業務サービスを活用することができるでしょう。
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