Case Study

オリシロジェノミクス株式会社

IPOを目指す大学発バイオベンチャー。6人の外部人材が管理部門の構築をサポート

「まるで彗星のようにすごい人が現れた! と思いました。どうやってこんな人材を見つけてこられたのか、不思議なくらいです」

Customer profile

オリシロジェノミクス株式会社
経営管理部
シニアマネージャー
水野太郎様

革新的なDNA技術を持つ大学発のバイオベンチャー、オリシロジェノミクス株式会社。着実に事業が成長し、IPO(新規上場)を目指す中で、管理部門の体制を整えることが喫緊の課題となっていました。Warisのプロフェッショナル人材を、経理、財務、マーケティング、総務、人事の各分野に配置し、さらに常勤監査役となるエグゼクティブ人材を迎えたことで、会計監査でも一定の評価を得ることができました。

  • 課題

    • 責任者がひとりで管理部門を担っていたが、事業の成長とともに社員数が増え、業務量も増大。時間的にも、ひとりで業務をこなすことが難しくなっていた。
    • IPOを目指す中、労務管理についても、企業としてしっかりと制度を整える必要があった。
    • 機動的に動けて柔軟な働き方ができる人材を探していたが、新卒や中途採用の正社員では、条件に合う人材を見つけることが難しかった。
  • 成果

    • Warisから、経理、財務、マーケティング、総務、人事など5人のプロフェッショナル人材と、常勤監査役となるエグゼクティブ人材をご紹介。管理部門の体制を整えたことで、IPOを視野に入れた会計監査でも、一定の評価を得ることができた。
    • 会社にとって必要な経験やスキルを持った人材をスピーディに採用できたことにより、責任者がひとりで業務を抱えこむ「リスク」を回避することができた。

独自のDNA技術を生かし、IPOをめざす大学発のバイオベンチャー

革新的なDNA技術を持つ大学発のバイオベンチャー、オリシロジェノミクス株式会社。より良いバイオエコノミーの実現を目指し、2018年に設立されました。

立教大学の末次教授が開発した、セルフリーでDNAをつないで増やす世界で唯一の技術をもとに、試薬キットの製造・販売、DNAそのものを構築して提供する事業を手がけています。コロナ禍で需要が高まったワクチンの開発や製造にも応用が期待され、今後、事業拡大が期待される成長企業です。

「会社を設立した当初から、代表取締役の平﨑は、しっかりと事業を育て、大きくしていきたいという強い思いを持っていました。IPO(新規上場)を目指し、管理部門体制を整えていくことになったのです」(経営管理部・シニアマネージャーの水野太郎さん)

創業期の大学発ベンチャーは、最先端の技術を生かした事業を展開できる一方、細々とした申請業務や残業時間など労務管理があいまいになりやすい側面があります。
また、「大学の研究室では、成果を論文にまとめて、早く世の中に出すことを目指しています。一方、企業活動では、研究成果を特許化し知財としたり、ノウハウとして守ったりしなければなりません。大学の研究室の良いところと会社として行わなければ行けないことのバランスをとって、事業として目的を達成するためにも、管理部門を育てることが急務でした」と水野さんはいいます。

「機動的に動けて、柔軟な働き方で対応できる人を見つけたい」とWarisに相談

管理部門を支える人材の採用方法には、いくつかの選択肢があります。しかし、ベンチャー企業にとって、新卒の人材を正社員で採用してじっくり育成することは、時間的にも、費用の面からも簡単ではありません。中途採用の人材であっても、すでに上場している大企業や、歴史のある中小企業など、すでに業務フローが構築されている中で長く働いてきた方の場合、ベンチャー企業のスピード感や、一から制度を作り上げていくプロセスに慣れていらっしゃらない場合もあります。

「3ヶ月、場合によっては1ヶ月単位で社内の状況がどんどん変化していく中、機動的に動けて、柔軟な働き方で対応できる人材を探していたのです」(水野さん)

以前、訪問を受けたことがあるWarisの担当者に、水野さんは連絡をとりました。社員が増えるにつれどんどんふくらんでいる経理業務を、まずは外部人材に委託しようと考えたのです。

Warisからは、まず現場の経理業務を担当するKさんをご紹介。フルリモートで、slackでやりとりをしながら業務をスタートしました。まだマニュアルがない状態だったので「指示の内容をWordにまとめて、業務マニュアルを作ってください」と依頼したところ、日々の業務と並行してKさんがまとめてくれたマニュアルの内容に、水野さんは驚いたそうです。

「スクリーンショットなども入れながら、わかりやすくいい感じにまとめられていました。日々の業務も的確かつスピーディにこなしてくれて、期待以上でしたね。Warisにお願いすると、こういう能力の高い人が見つかるんだ! と思いました」(水野さん)

複数のプロフェッショナル人材を活用したことで、会計監査もクリア

水野さんからのご依頼で次にご紹介したのは、経理・財務分野のプロフェッショナル人材であるMさん。前職でIPO準備に携わった経験もあり、少し大きな視点からオリシロジェノミクス社の実績や、現状の分析を行うことになりました。さらに、Webマーケティングのプロフェッショナル人材であるFさん、総務を担当するSさんもご紹介。Sさんはバイオベンチャー未経験ながら、耳慣れないメーカーや商品の名前を着実に覚え、研究所の中でもしっかりと活躍しているそうです。

「業務委託で働いている方は、他社をふくむ複数の案件を抱えている場合も多いです。『他社ではこういうやり方をしているので、取り入れてみてはどうでしょう?』と、一歩先のステージに進んでいるベンチャー企業の方法論を提案してもらえるのもメリットですね」と水野さんは語ります。

外部人材を活用して管理部門を整えたことは、対外的な評価にもつながっています。上場を視野に、民間の監査法人に依頼した会計監査で、「今後、さらに社内体制を整えたほうがいい」というコメントつきではあるものの、財務状況が適正に表示されていると判断されたのです。

「IPOに向け、足りない部分を補っていく必要はありますが、スタートラインに立てているのだと、ほっとしました」(水野さん)

「まるで彗星のように」あらわれたエグゼクティブ人材

事業が成長し、上場の準備を進める会社には、常勤監査役を専任することが求められます。オリシロジェノミクス社でも人材を探していましたが、条件に合う方はなかなか見つかりません。そこでWarisから、取締役や執行役員の経験を持ち、会計の知識も豊富なエグゼクティブ人材、Yさんをご紹介しました。

「まるで彗星のようにすごい人が現れた! と思いました。ご経歴も何ひとつ欠点がない。『ほかの会社に行ってしまったら困る』と思い、すぐに面接をさせてもらいました。役員や、VC(ベンチャーキャピタル)の方々からもまったく反対意見がなく、すぐに採用が決まったのです。一見、物腰やわらかく落ち着いた雰囲気なのですが、一緒に仕事をしていると『エネルギーのかたまりのような方だな』と感じます。どうやってこんな人材を見つけてこられたのか、不思議なくらいです」(水野さん)

さらに今年に入り、バックオフィス全般の経験が豊富なAさんを、人事・総務担当としてご紹介。株主総会や取締役会の対応を中心とする総務業務、採用・入社手続きなどの人事業務、一部経理の業務にも携わっているといいます。

現在同社では、常勤監査役と管理部門で、Warisからご紹介した計6人のエグゼクティブ人材、プロフェッショナル人材が活躍しています。

初めのうちは「仕事の分量、幅の広さなど、どの程度お任せしていいのか読めない部分もありました」と水野さん。
「今、お願いしている仕事にはどれくらい時間がかかりますか」「今週はあと何時間くらい働けますか」など、こまやかにコミュニケーションをとりながら、仕事の分量や進め方を調整して行ったそうです

「かつて当社では、私が管理部門をひとりで担っていることが、ある意味で『リスク』になっていました」と水野さんは言います。
「社員数が少ないうちはなんとかこなせていましたが、メンバーが増えれば、その分業務量も増えていきます。時間が足りなくなる中、業務を抱え込んで倒れる前に、いい方を迅速に紹介してもらって、とても助かりました」

外部人材の活用で、管理部門の人材不足を乗り越える

業務委託で外部の人材を活用するにあたり、抵抗や難しさを感じることはなかったのでしょうか。

「前職で、私は金融機関系シンクタンクに勤めていました。プロジェクトベースで働くことが多かったので、『正社員だから』『業務委託だから』という雇用形態へのこだわりはもともとあまりなかったですね。どんな働き方にせよ、大切なのは成果を上げることだと思います」と水野さん。

「ただ、IPO準備を進めていく過程では、雇用契約をベースにした組織づくりを求められる部分もあります。必要なところには正社員を配置して組織の骨格を整え、事業の成長に合わせて業務委託の方にサポートしてもらうというやり方なら、バランスがとれるのではないでしょうか」

今後、オリシロジェノミクス社では、「最大の強みである技術力を生かした製品を生み出し、いずれは世の中に対して大きなインパクトを与えられるよう、事業を育てていきたい」と考えているそうです。

IPOを目指す企業にとって、豊富な経験やスキルを持った人材を確保することは喫緊の課題です。すぐれた技術力を持っていても、管理部門の人材不足から、事業化や株式上場に困難を抱える大学発ベンチャーは少なくありません。
そんな中、柔軟な発想で外部人材を迎え入れたことが、同社にとって確かな追い風となっているようです。

ワクチン開発や遺伝子治療など、今後、ますます注目を集めることが予想される分野で、新たな未来を切りひらいていこうとするオリシロジェノミクス社。その取り組みを、私たちも引き続き、人材の分野からサポートしていきたいと考えています。

※本インタビューは2022年2月に実施したものです。

  • ■設立/2018年12月
    ■会社概要/プラスミド DNA 複製キットの販売、試薬キットの製造、プラスミドDNA製造、無細胞ゲノム技術の研究および開発など。