Case Study

日本航空株式会社

ダイバーシティの一歩先へ ブランクのある女性人財をインターンで受け入れ

「キャリアブランクがあるけれど働きたいという強い意欲を持った女性がこんなにもたくさんいることに驚きました。子育てをしながら仕事を続けている社内の女性たちの想いや本音を垣間見ることができ、思いがけない発見がありました」

Customer profile

日本航空株式会社
執行役員 人財本部長 小田卓也様
人財本部 人事部人事第2グループ長 江尻祐子様
人財本部 人事部人事第1グループマネジャー 松浦幸平様

「日本の翼」として、名実共に日本の航空輸送を牽引してきた日本航空株式会社。インバウンドの増加や旅客のニーズの多様化にともない、早くからダイバーシティ人財の活躍推進に取り組んできました。今年は初の試みとして、ブランクのある女性人財の再就職を支援する「ワークアゲインプログラム」を株式会社Warisと共催。インターンとしてブランク人財を受け入れ、うち複数名が、仕事への意欲やコミュニケーション能力を評価され、正社員として本採用に至りました。ダイバーシティにおいても時代の一歩先を行くJALの挑戦は、これからも続いていきます。

  • 背景

    • 早くからダイバーシティへの取り組みを推進してきた日本航空株式会社。
    • 女性の再就職支援を手がけるWarisのビジョンに共感し、2社の共催によりワークアゲインプログラムを開催することに。
    • 出産や配偶者の転勤を機に離職した女性たちが、3週間の就業体験をするという試み。
  • 成果

    • 採用を前提としたプログラムではなかったものの、業務に対する前向きな姿勢やコミュニケーション能力が評価され、結果として複数名の女性が本採用に。
    • ブランクのあるキャリア女性の採用という新たな可能性を発見。
    • 仕事と家庭を両立して働いていた、社内の女性たちの本音を知るきっかけとなる。

多様な人財の活躍に取り組む「日本の翼」

破たんからの再上場を遂げた日本の翼、JAL

60年以上にわたり、日本の航空インフラを支え続けてきた日本航空株式会社。国内143路線、国外571路線を運航し、安全への徹底した取り組みとサービス品質の高さから、国内外を問わず抜群の信用力を誇ります。子どものころ、JALのキャビンアテンダントやパイロットに憧れた方も多いのではないでしょうか。

2010年には経営破綻という困難を経験しますが、大胆な経営改革により、2年というスピードでの再上場を果たし、現在に至るまで非常に好調な業績が続いています。

多様な人財が、個性を生かして働ける企業風土

インバウンドの増加や、お客さまのニーズが多様化する中、「よく似たバックグラウンドを持つ人財が集まるのではなく、多様な人財が、ひとりひとりの個性を生かして働ける組織を目指してきました」と語るのは、人財本部・人事部第2グループ長の江尻祐子さん。
学生生活において、誰にも負けない努力によって実績を上げた人財を対象にした新卒の「オンリーワン選考」の実施や、事務系・技術系の他に「数理・IT系」の職種を新設してテクノロジーやデータ分析に強い人財の採用を強化するなど、多様な人財採用への取り組みを進める中、女性のための再就職支援事業を手がけるWarisの存在を知ったといいます。

Warisと「ワークアゲインプログラム」を共催

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「ワークアゲイン人財」をインターンシップで受け入れ

「Warisの方とお話する中で、出産や育児を機に仕事を離れてキャリアにブランクがあり、もう一度働きたいと願っている女性たちがいることを知りました。そういった人財の再就職を支援するWarisの取り組みに、とても共感しましたね」(執行役員 人財本部長 小田卓也様)
JALとWarisは共同で、キャリアにブランクのある「ワークアゲイン人財」を対象にした「ワークアゲインプログラム」の開催を決めました。本気でキャリアの再構築を目指す女性を3週間のインターンシップという形で受け入れ、再就職に向けた支援を行う取り組みです。

説明会には100名以上の女性たちが

インターンシップの実施に先立ち、プログラムへの参加を希望する女性を対象にした説明会が行われました。複数回にわたって行われた説明会には、合わせて100名を超える女性たちが参加。プログラムの目的や内容説明の後、JALの各職場で働く女性社員の皆さんが、実際の業務内容や、仕事と家庭の両立についての体験談を紹介しました。

「説明会には、本当にさまざまな方に集まっていただき、キャリアブランクがあるけれど働きたいという強い意欲を持った女性がこんなにもたくさんいることに驚きました。集まっていただいた皆さんからのご質問にはJALの女性社員に自分の言葉で説明させましたが、それを聞いていると子育てをしながら仕事を続けている社内の女性たちの想いや本音を垣間見ることができ、思いがけない発見がありました」(小田さん)

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「もう一度働きたい」という強い意欲を持った女性たちを受け入れ

今回、女性たちが就業体験をしたのは、マーケティングや人事サポート、経理など地上で事務を担当する部署。ワークアゲイン人財をインターンとして受け入れるにあたり、JAL社内でも、各部署の人事担当を対象にした説明会を開いたそうです。インターンを受け入れる部署を募ったところ、会社としては初めての試みであるにもかかわらず、複数の部署から「受け入れたい」と積極的な声が上がったといいます。

「就業体験をしてもらうことになった女性たちは、30代から40代。出産や配偶者の転勤などを機に一度仕事を離れた方たちです。離職期間に自分を見つめ直し、『もう一度働きたい』『成長したい』という強い気持ちを持った方ばかりでした。キャリアに対しても受け身ではなく、『JALでこんな仕事をしてみたい、そして社会に貢献したい』と具体的なイメージを持っている方が多かったですね」(人財本部 人事部マネジャー 松浦幸平様)

インターンシップが女性たちの再就職を後押し

江尻様

前向きな仕事ぶりで、3週間で部署に溶け込む

実際のインターンはどんな様子だったのか、ある女性の例を見てみましょう。経理部に配属されたKさんは、30代後半。出産を機に前職を退職し、ブランクのある人財でした。出産前に経理や会計に関する分野に豊富な経験がありましたが、同じ経理でも、会社によって、求められる業務内容には違いがあります。

「Kさんは、分からないことがあれば積極的に質問をし、指示を待つだけでなく、自分にできる業務を探して取り組む前向きさを持った方です。3週間で部署にもすっかり溶け込み、インターン終了後本採用が決まりました。JALでは時短勤務の制度を活用している社員も少なくありませんが、Kさんはあえて時短勤務ではなく、フレックス制度を利用し、朝7時半から夕方16時半までフルタイムで仕事をしています」(江尻さん)

インターン後、本採用が決まった女性も

今回のワークアゲインプログラムは、もともと本採用を前提としたものではありませんでしたが、インターン期間中の前向きな仕事ぶりやコミュニケーション能力の高さが各部署での高評価に結びつき、結果としてKさんを含む複数名が本採用されることになりました。
前職での経験のみならず、ブランク期間中のPTA活動や海外帯同経験など、多様なバックグラウンドを持つ女性たちと一緒に働くことは、社員にとっても新たな刺激となり、「本当にやってよかったと思っていますし、今後も同様の機会を作っていきたい」と小田さんは言います。

時代の一歩先を行く、JALの人財活用

テレワークとフレックスで柔軟性の高い働き方を実現

JALグループでは数年前から、一部の部署でテレワークや、7時半から22時の間で働く時間帯を選択できるフレックス制度など、柔軟性の高い働き方の導入を進めてきました。
「柔軟な働き方の導入はかなり進んできていますが、次の段階として、たとえばテレワーク時に使用するマイクの性能など、ハード面の品質を向上させたいですね。柔軟性が高い働き方をより浸透させていくためのインフラ整備が目下の課題です。」(小田さん)

個人の能力を最大限活かす「タレントマネジメントシステム」

働き方改革や、今回のワークアゲインプログラムを経て、従来から進めてきたダイバーシティ、多様な人財を採用するという考え方は、JALグループ全体にほぼ浸透しているように見えます。JALではそこからさらに時代の一歩先を見据え、多様な人財の活躍について新たな取り組みをスタートしています。

「国籍や性別など、多様なバックグランドを持った人財の採用は、既に実現しています。次は、採用した人財が最大限能力を発揮して働くための『タレントマネジメントシステム』を構築したいと考えています。採用した人財の配置は、上司や本人のコメント等の情報を参考にしながら、人事担当者が配置に関わる経験をベースにしつつ個々の適性を考えながら行っているのが現状です。しかし、それだけでは個人の能力を活かしきることが難しい。個人情報の管理には十分に配慮しながら、個人の経験や資質などさまざまなデータを統合し、採用→評価→育成→配置のサイクルを回しながら、個性を引き出す人財活用ができるよう、データベース作りを進めています」(小田さん)

国内随一の歴史と信頼を誇る大企業でありながら、人財採用や活用についても、既存の枠にとらわれず変革を続ける日本航空株式会社。JAL、そしてワークアゲインプログラムの挑戦は、まだ始まったばかりです。

jallogo
  • 歴史・規模共に、日本を代表する航空会社である「JAL」、日本航空株式会社。1951年に設立され、グループ会社は134社、従業員数は単体で1万2千人を超える巨大企業です。旅客や貨物の航空運送事業を主軸として、空港周辺事業や国内・海外旅行の企画販売、クレジットカード事業なども手がけています。