内部統制の構築に向けたコンサルティング人材の効果的な探し方
IPO(上場)の準備において、監査法人のショートレビューを受け「内部統制を構築する必要があります」「J-SOX対応のために3点セットを準備しましょう」と言われたものの、どう進めたらよいか戸惑っている方は多いのではないでしょうか。
内部統制は、未経験の方にとっては、制度や用語の理解がとても難しい領域です。「どんな状態をゴールとして目指せばいいのか」「そのために何をどう手を付けていけばいいのか」が実務レベルで分かりにくいと感じる方も多いです。
内部統制を進めなくてはならないものの、専門知識や経験が必要なため社内でリソースを割くのが難しく、がっつり伴走してくれるプロ=「内部統制コンサルティング」を利用したいと考えている人もいるでしょう。とはいえ、内部統制コンサルティングに関する正しい知識を知っておかないと、適切な判断ができず、内部統制がなかなか進まない恐れがあります。
そこで、自社の内部統制の構築に向けてコンサルティングサービスを探す際のコツを紹介します。また、こうしたコンサルティングサービスのメリット・デメリットや、コストを抑えつつより良い成果を上げるためのフリーランス活用の可能性についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみて下さい。
■この記事はこんな方にオススメです
✓ 内部統制の構築をどのように進めたらいいか、情報収集したい方
✓ 内部統制プロジェクトを、できる限りコストをかけず進めたい方
✓ どういう人物が専門性を有しているのか、内部統制コンサルタントの選定に向けた解像度を上げたい方
▼目次
1. 内部統制とは?
3. 内部統制コンサルティングを活用するメリット
(1)専門家の知識を得られる
(2)コア業務に専念できる
(3)人件費削減につながる
4. 内部統制コンサルティングを活用するデメリット
(1)利用料(費用)がかかる
(2)自社社員のスキルが育ちにくい
5. 成果を期待できる内部統制コンサルタントの選び方
(1)目標の明確化
(2)専門性と経験
(3)組織の文化と適合性
(4)個社ごとにアプローチをカスタマイズできるか
(5)価格とコスト効果の評価
6. 内部統制コンサルティングにフリーランスを活用するメリット
(1)専門知識と柔軟性
(2)コスト効率
(3)個社ごとのニーズを十分に踏まえたカスタマイズアプローチ
(4)細かなサポートとアドバイス
1. 内部統制とは?
そもそも「内部統制」とは、IPOを目指す企業において「企業として起こってはならない間違いが起こりにくくなるよう、連携してチェックできる環境を整える」ことです。
具体的には、経営者がモラル(内部統制)を持ち、危険予測(リスク評価)を行い、日々のモニタリングやルールの遵守(統制行為)を行うことであり、企業がリスクを管理し、効率的かつ透明な運営を確保するために不可欠です。
内部統制には、大きく4つの目的と6つの構成要素があります。
【4つの目的】
①業務の有効性・効率性
②財務報告の信頼性
③法令順守
④資産の保全
【6つの構成要素】
統制環境
リスクの評価と対応
統制活動
情報と伝達
モニタリング
ITへの対応
内部統制の目的を達成するには、組織内のすべての人が日常業務の中でそれぞれの目的を意識し、適切に整備・運用する必要があります。具体的には、内部統制の「文書化」を行い、自社の財務報告にとって重要な業務プロセスを選別し評価します。
また、内部統制を構築するには、経営管理の基礎を整えることが重要であり、取締役会の運営や議事録の整備、経理業務の整備、事業計画の策定、監査法人の選定などが含まれます。なお、IPOを目指す企業は、2年目以降に監査法人のショートレビューを受け、上場準備を進める必要があります。
2. 内部統制コンサルティングとは?
内部統制コンサルティングとは、その内部統制の推進を「外部の専門家(コンサルティングを専門とする法人や個人)」に依頼することです。具体的な内部統制コンサルティングの担い手として、CIA(公認内部監査人)やCFE(公認不正検査士)・CISA(公認情報システム監査人)などの資格保有者が多いです。
3. 内部統制コンサルティングを活用するメリット
(1)専門家の知識を得られる
「内部統制」を十分な形で実現するには、さまざまな知識が必要です。先述した内部統制の主な担い手となりうる資格保有者、もしくは同等の知見と経験を有する人材は、転職市場では極めて貴重であり、こうした人材の獲得は容易ではありません。
よって自社の、今いる人材で内部統制を進めざるを得ないとなると、知識が不足していることから、内部統制自体が思うように進まない恐れがあります。
その点、内部統制コンサルティングに依頼をすれば、内部統制に関する専門家による知識を得られます。内部統制をいつかは内製で自走したい、と考えている企業にとっても、立ち上げの段階では外部専門家の力を借りることによって、推進の方向性を正しく確立させ、なおかつ自社にはない専門的な知識を得られることは、大きなメリットとなるはずです。
(2)コア業務に専念できる
内部統制コンサルタントに業務をお任せすることによって、社員はその企業のコア業務(直接利益や事業スピード向上に繋がる、重要な非定型業務)に専念できます。
内部統制は企業の組織基盤強化に向けて必要とはいえ、内部統制自体が売上を上げるという性質のものではありません。あくまでも社内で内部統制を進める、となると、社員にとってコア業務以外の業務が増え、本業を圧迫しかねません。このため、内部統制コンサルティングを活用することによって、内部統制に関わる社員がコア業務に専念できる環境に繋がるといえます。
(3)人件費削減につながる
内部統制は専門知識が必要なだけでなく、社内の調査や社員へのヒアリングなど労力がかかります。内部統制コンサルティングに依頼することによって、社内にそうしたリソースを配置する必要がなく、最低限の人件費で内部統制を進めることができます。
もちろん外部への依頼ですから発注コストは発生するものの、変動費として必要な期間範囲に必要な分だけコストが発生することとなり、総合的に考えればすべて内製で進めるよりもはるかにお得というケースも十分考えられます。
4. 内部統制コンサルティングを活用するデメリット
一方で、内製ではなく内部統制コンサルティングという外部リソースを内部統制の主軸として活用することによるデメリットも抑えておく必要があります。ここでは2つ、デメリットになり得る点をご紹介します。
(1)利用料(費用)がかかる
具体的な料金は、サービス提供事業者や、依頼したい範囲・フェーズなどによってさまざまです。
ただ一般的には、コンサルティング費用は1時間当たり1~2万円、場合によってはそれ以上のフィーが相場となります。また、内部統制コンサルティングサービスによっては、内部調査や戦略起案などのコンサルティングのみで、実務は支援しないのか、あるいは実務まで取り組むのか(ハンズオン型)といった違いもあることに注意が必要です。
よって、こうした内部統制コンサルティングに費用を投じる場合、どこまでの依頼範囲で発注をするか、またどこまで内製(=社員=人件費)でリソースを割くのか、十分に検討を行う必要があります。
(2)自社社員のスキルが育ちにくい
先述の通り、「専門家の知識を得られる」点は、内部統制コンサルティングサービスを活用する大きなメリットである反面、自社社員のスキル成長機会が少なくなってしまうという問題点もあります。
内製がすべて問題というわけではありません。自社の社員が現段階は知識的に乏しい状態でも、中長期的にスキルが育ってくることによって、経験曲線効果で外部よりも効率的に業務が進められるようになります。
内部統制の立ち上げ段階では、内部統制コンサルティングを活用しつつ、専門家による知見を社員に共有し、スキルを高めていくことも十分に取り組むことによって、効果的な内部統制の体制運営が長期的に可能となります。
5. 成果を期待できる内部統制コンサルタントの選び方
今この記事を読んでいただいている方のなかには、内部統制をこれから始めたいがどのように始めたらよいか迷っている方、あるいは既に内部統制を進めているが、何らかの課題感をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
自分よりも専門性が高いプロフェッショナルが、どういう成果を出していただけるのかを、どう見極めたら失敗が少ないか。また、そのためにどんな準備や意識が必要か。
10年間、ビジネス最前線で成果を出せるプロ人材を見極めてきたWarisとして、成功に向けて重要と考える要素を5つお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。これらの要素をバランス良く検討し、最適なコンサルティングサービスを選ぶことで、効果的な内部統制の構築を実現できるでしょう。
(1)目標の明確化
まず、組織がどのような目標を達成したいのかを明確にすることが重要です。
内部統制に関して、自社がどのような課題やリスクを抱えているのか、改善したい具体的な領域は何かを把握しましょう。これにより、必要なコンサルティングサービスの範囲や専門性を絞り込むことができます。
(2)専門性と経験
内部統制コンサルティングを提供する企業や専門家は、一様に同じではなく、専門性と経験はそれぞれ異なります。信頼性のある専門家やコンサルティング企業を探すために、以下のポイントを考慮するとよいでしょう。
・内部統制に関する実績や成功事例があるかどうか
・関連する業界や規制に精通しているかどうか
・資格や認定を持っているかどうか(※内部統制は資格が無くても業務遂行できます)
・顧客の評価やレビューなど第三者的な評価情報があるかどうか
(3)組織の文化と適合性
内部統制コンサルティングを提供する企業や専門家との相性は非常に重要です。組織の文化や価値観に合致し、協力的な関係を築けることが重要です。コンサルタントとの面談や会議を通じて、相互の適合性を評価しましょう。
(4)個社ごとにアプローチをカスタマイズできるか
各企業・組織は個社ごとに、異なるニーズや要件を持っています。内部統制の構築においても、それぞれの状況にカスタマイズされたアプローチが求められます。内部統制コンサルタントが、画一的なソリューションを提供するだけなのか、それとも組織の特定の要件を尊重し、カスタマイズされたソリューションを提供できるかを確認しましょう。
(5)価格とコスト効果の評価
内部統制コンサルティングのサービス価格とコスト効果を複数評価することも重要です。最も費用対効果の高いオプションを見つけるために、複数の提供業者との比較を行いましょう。ただし、最も安価な選択肢が常に最良の選択肢ではないことに注意しましょう。
6. 内部統制コンサルティングにフリーランスを活用するメリット
最短距離で社会インパクトの最大化を目指す成長中スタートアップにとって、内部統制コンサルティングは、リスク管理、プロセス改善、法的遵守、内部統制意識の醸成、信頼構築などの重要な要素をサポートします。組織の成長と安定性を追求する上で、内部統制コンサルティングを効果的に活用し、専門知識と経験を持つコンサルタントとの協力を活かすことが重要です。
とはいえ、著名なコンサルティングファームや監査法人などへ、いきなり外注するとなると、かなり多額のコストがかかります。そこで、内部統制コンサルティングとして、優秀なプロフリーランスを活用することは、とても有効な選択肢となります。
以下の観点で、法人への発注とは異なる便益が期待できます。
(1)専門知識と柔軟性
フリーランスの内部統制コンサルタントは、独自の専門知識と経験を持っています。彼らは複数の組織と取引を行い、異なる業界や規制に対応する能力があります。また、フリーランスは柔軟性があり、プロジェクトのニーズに合わせてカスタマイズされたソリューションを提供できます。
(2)コスト効率
フリーランスを利用することで、一時的な内部統制コンサルティングの需要に対してコスト効率よく対応できます。フリーランスの料金は通常、大手のコンサルティング会社に比べて割安であり、プロジェクトの期間や規模に応じた柔軟な契約が可能です。
(3)個社ごとのニーズを十分に踏まえたカスタマイズアプローチ
フリーランスの内部統制コンサルタントは、個人であるため、各々の知見を細やかに生かし、企業ニーズに応じて柔軟に活動します。クライアントと密にコミュニケーションを取り、組織のニーズに合わせてアプローチをカスタマイズし、組織の特定の要件に合わせた内部統制の構築を促進できます。
(4)細かなサポートとアドバイス
フリーランスの内部統制コンサルタントは、プロジェクトに深く関与し、実装段階から継続的なサポートとアドバイスを提供します。彼らは組織の成長と変化に対応し、必要な調整や改善を行うことができます。
一方で、フリーランスを選択する際にはいくつかの要素に留意する必要があります。
十分な経験と信頼性を持つフリーランスを選ぶこと、適切な契約と契約条件を確保すること、コミュニケーションとプロジェクト管理において明確なルールと期限を設けることなどが重要です。
こうした見極めのプロであるエージェントの力も十分に活用して、ミスマッチが起こらないよう確実に選定を行いましょう。
結論として、フリーランスの内部統制コンサルタントは、特定のプロジェクトやニーズに対して有効な選択肢となります。組織の要件や予算に合わせて柔軟に対応し、専門知識と経験を持つフリーランスを選ぶことで、効果的な内部統制の構築を実現できます。
7. 実際に発注できる内部統制コンサルティング人材
最後に、Warisにご登録いただいている、内部統制コンサルティングが可能なプロ人材の一例をご紹介します。すぐのご発注でなくても、ご相談に乗らせていただくだけでも問題ございませんので、ご興味をお持ちいただけましたらお気軽にお問い合わせください。
※2023年6月時点の登録情報につき、働き方のご希望や直近のご状況は、最新情報を確認する必要がございます。
Aさん
コンサルタントとして、戦略策定だけでなくハンズオン型支援も可能な人材。IPO前後3年程度を複数社経験。経理経験に加え営業力や交渉力がお強みであり、会計・法務・営業含めジェネラルな視点・動きができる。経営者との距離感が近いことから、経営者の右腕的に関わりやすい、中小・スタートアップの企業経営支援に取り組みたい意欲が高い。月80時間程度の稼働希望。
詳細・お問い合わせ: https://waris.jp/front/partner/74029880
Bさん
内部統制コンサルタントとしての主体的なプロジェクト推進が可能なプロ人材。それ以外にも全体統括や事務局として運営を取りまとめたり、リサーチ・調査、数値管理・分析、資料作成、企画から実行まで進めつつ、専門家としての知見を社内に残すなど、内製化への接続を潤滑に進める力が期待できる、柔軟性が高い人材。
詳細・お問い合わせ: https://waris.jp/front/partner/107041055
Cさん
社外取締役・顧問・アドバイザー人材。グローバルな財務経理+経営管理の経験を有しており、グローバル展開を視野に入れたベンチャーでのコンサルタントとしてご活躍が期待できる人材です。中長期的な内製化に向けて実務レベルの人材を社員でまかない、指導役や助言役を得たい企業様に最適です。週2日程度の稼働希望。※Warisエグゼクティブとしてのご紹介となる可能性があります。
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