決算代行サービスを使うメリット・デメリット
企業にとって欠かせない業務のひとつが決算。
決算業務は専門知識が必要なだけではなく、細かい作業が多いため、多くの時間をとられる業務です。
また、多くの時間と工数がかかる上に、事業規模が大きくなるほど処理内容も増加します。
そのため、決算業務の外注化を検討されている方も多いでしょう。
そこで今回は、決算代行サービスを検討する際に知っておきたい、メリットとデメリットについてお伝えします。
▼目次
1. 決算代行サービスとは?
2. 決算代行サービスの業務内容
2-1 記帳代行
2-2 決算書と内訳書の作成代行
2-3 申請書作成代行
2-4 申告代行
3. 決算代行サービスのメリット
3-1 コストの削減につながる
3-2 法改正への対応がスムーズになる
3-3 担当者がコア業務に集中できる
3-4 属人化の防止ができる
4. 決算代行サービスのデメリット
4-1 依頼する範囲を設定し、業務の切り出しを行う必要がある
4-2 自社にノウハウが蓄積されない
決算代行サービスとは?
決算代行サービスとは、事業年度ごとに行う決算業務を外部に委託できるサービスです。
一般的に、自社で決算業務を行う場合には、市販の会計ソフトを使うのが主流です。
ただ、会計ソフトを使って作成する決算書は、基本的に貸借対照表や損益計算書などのみ。
たとえ規模が小さい企業であっても、法人税申告書別表などを含めて数十枚の申告書類を作成する必要があります。
いっぽうで、専門的な知識が必要なわりに、業務に割く時間もかかりますし、売上に直接繋がる業務ではありません。
そのため、企業としては貴重な人材をより中心的な業務に集約したいというのが本音ではないでしょうか。
実際に、決算代行サービスでは業務としてどこまでをやってもらえるのか気になるかと思います。
一般的にどんな業務内容を外注化できるのかについて、見ていきましょう。
決算代行サービスの業務内容
1. 記帳代行
総勘定元帳など税務申告に必要な帳簿を作成します。
現金出納帳を作成していない場合は、別途作成する必要があります。
主に、普段の経理データのチェックおよび修正業務を依頼できると考えて良いでしょう。
2. 決算書と内訳書の作成代行
経理の専門家が決算書および内訳書を作ることで、より付加価値の高い決算書を作成することが可能です。
例えば、税金を少しでも少なくしたい・金融機関の融資を受けやすくしたいなど、それぞれのニーズに合わせた決算書を用意することが期待できるでしょう。
3. 申請書作成代行
主に、決算申告で提出が義務付けられている法人税や地方税、消費税などの申告書を作成します。
4.申告代行
税務署への申告書申告も代行してもらえます。
申告した後は、申告書の控えや元帳などの資料一式を受け取ります。
決算代行サービスのメリット
続いて、こういった決算代行サービスを利用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、代表的なメリットについてご紹介します。
コストの削減につながる
コスト面では、主に人材面とシステム面の2つが考えられます。
まず、人材面では、専門知識をもつ人材の人件費、正確に決算を行なうための教育コストが考えられるでしょう。
システム面においては、会計ソフトの通常の利用費が含まれます。
これらの人材面・システム面両方のコストを、決算代行サービスを活用することで効率よく抑えることが可能です。
また、決算申告を税金の専門家に依頼することで、節税のアドバイスを得ることもできます。
法改正への対応がスムーズになる
税制や社会保障関係の法令は、毎年のように改正されることをご存知でしょうか?
当然、担当者には専門的な知識が求められますし、変更内容の確認と規定への反映、そして会計ソフトの設定変更も必須です。
すべてに漏れなく対応するのは困難ではありますが、ミスが許されない業務なだけに、担当者にとって大きい負荷となるでしょう。
さらに、記載内容にミスがあれば、加算税などのペナルティを課せられるリスクもあります。
企業と従業員の信頼関係にも悪影響を与えるので、より注意が必要です。
こういった大きな負担を外注化によってプロにすべて任せられるので、法改正への対応はスムーズになります。
担当者がコア業務に集中できる
冒頭でお話しましたが、決算申告に必要な書類を揃えるのには大変な労力が必要です。
毎年必ず発生する大切な作業ですが、その内容は定型的なものがほとんどで、利益に直結しない業務であることも事実。
自社がやるべき業務と、自社でなくても任せられる業務を切り分けることで、余裕を持って業務に取り掛かれるようになるでしょう。
社員がコア業務に集中できるようになり、結果として生産性向上や今までにない取り組みへのチャレンジが可能になります。
属人化の防止ができる
決算業務に多くの人員を割くことは難しいため、決算に精通した担当者が業務に専念するようになります。
そのため、業務量や業務に関する知識が属人化しやすい傾向があります。
決算業務を外注することで、業務の属人化を解消し、社員への負担を軽減させることが可能です。
決算代行サービスのデメリット
決算代行サービスには、デメリットも存在します。
メリットのほうが大きいように思われる決算代行サービスですが、デメリットにはどんなものがあるのでしょうか?
依頼する範囲を設定し、業務の切り出しを行う必要がある
決算代行サービスはとても便利なサービスですが、依頼を行う前に、どの範囲の業務までお任せするのが、自社にとってベストなのか見極める必要があります。
また、関連する業務との切り分けや、必要に応じて他部門との調整を含めた業務フローの整理を行い、タスクを明確化する必要もでてきます。
これらのことを行うためには、現状の業務フロー全体をある程度把握している必要があり、どの範囲を切り出すべきかを見極める力が必要になります。
サービスによっては、導入コンサルティングとして、これらのサポートを行ってくれる場合もありますが、まずは、大まかな依頼範囲や切り出す業務の設定を、自社内で行う必要があるでしょう。
自社にノウハウが蓄積されない
決算を代行してもらうということは、決算に付随する業務を丸ごと任せるということです。
従来社内で培ったノウハウが残せない可能性がありますし、それ以後のノウハウは社内に蓄積されません。
また、制度や法令改正などについて気軽に聞く機会がなくなると、社内での急な対応ができなくなり、有事の際に困ってしまうことも。
決算代行サービスは便利ではあるものの、社内にノウハウが蓄積されず、人材育成ができない可能性があります。
決算代行サービスを上手に活用するために
決算代行サービスには、たくさんのメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。
それらを踏まえて、サービスを上手に活用するためにはいくつかのコツがあります。
・自社にとってどの業務が最も大変なのかを、ざっくりでいいので数値化する(該当業務の時間数など)
・社内関係者で導入にむけたプロジェクトチームをつくり、依頼範囲や切り出す業務についてあらかじめ合意をしておく
・上記のことを自社内で行うのが難しければ、経理業務に精通した、外部のプロフェッショナル人材と契約し、自社にとってベストな切り出し方を考えてもらう(必要に応じて社内ノウハウの蓄積方法も検討してもらう)
サービスの導入前にこれらのことをしっかりと行うことで、より効果的に給与計算外注サービスを活用することができるでしょう。
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