外部プロ人材活用のよくある失敗例!成功する導入手順と注意点完全ガイド
人材リソースの確保は、多くの企業にとって重要な課題であり、近年は外部プロ人材の活用も有効な選択肢の一つとなってきました。
しかし、外部プロ人材の活用に慣れていない企業からは「外部プロ人材をうまく活用できなかった」「期待した成果を挙げられなかった」という声も少なくありません。
本記事では、外部プロ人材の活用でよくある失敗例とその原因・解決策、成功のための導入手順について解説します。外部プロ人材の導入を検討している企業や、外部リソースを有効に活用するために必要な知見・ノウハウを知りたい方は、ぜひお役立てください。
▼目次
1.進む外部プロ人材の活用
外部プロ人材とは
なぜ今、外部プロ人材が注目されているのか
2.外部プロ人材の活用で得られるメリットとは
➀必要な量とタイミングで依頼できる
➁社内にノウハウを蓄積できる
➂スピーディーに採用できる
➃コストを抑えられる
3.【実例】外部プロ人材活用の3つの失敗パターン|原因と解決策
➀スキルミスマッチによる失敗事例と対策
➁企業文化の不一致による失敗事例と対策
➂マネジメント不足による失敗事例と対策
4.外部プロ人材活用で失敗を防ぐ5つの手順と注意点
STEP1:プロジェクトの目的と期待する成果を明確にする
STEP2:必要なスキルと経験レベルを定義する
STEP3:予算と契約条件を設計する
STEP4:受け入れ体制と権限範囲を確認する
STEP5:評価基準とマイルストーンを設定する
5.おわりに
1.進む外部プロ人材の活用
外部プロ人材の定義および近年企業で外部プロ人材の活用が進んでいる背景について解説します。
外部プロ人材とは?
外部プロ人材とは、企業の外部から専門的なスキルや知識を提供するプロフェッショナルを指します。企業は必要なタイミングで必要なスキルを持つ人材を柔軟に活用できる一方、プロ人材は自身の専門性を活かしながら、多様な企業での経験を積むことができます。副業やフリーランスなどの外部プロ人材と企業は業務委託契約を交わすことが多くなっています。
また、外部プロ人材の企業との関わり方にも種類があります。1つ目は、バナー作成や記事作成、翻訳業務などの「タスク型」です。納期や納品物が明確であることが特徴です。2つ目は、システム導入やキャンペーンなど一定期間で業務に関わり、業務範囲や成果物が明確である「プロジェクト型」です。3つ目は、「ミッション型」と呼ばれ、ブランディング戦略策定など、期間を限定せずミッションに基づいて正社員と近しい関わり方をします。
なぜ今、外部プロ人材が注目されているのか
日本の労働市場は深刻な人材不足に直面しています。有効求人倍率が1.5倍以上を維持し、特に専門職における人材不足は企業経営に直接的な影響を及ぼしています。たとえば、経済産業省の報告によれば、2025年にはDX人材が約45万人不足すると予測されています。
さらに、新型コロナウイルスの影響で働き方に対する価値観が変化し、副業やフリーランスに対する関心が高まっています。特に20~30代の若手専門人材が積極的にキャリアの選択肢を広げる中、企業は従来の正社員中心の雇用形態に依存するだけでは必要なスキルを持つ人材を確保できない状況に追い込まれています。
このような背景から、外部プロ人材の活用は、多くの企業で人材確保の戦略的な選択肢として注目を集めています。特に広報・マーケティング、人事や事業開発などビジネス系の専門職においても、即戦力となる外部人材の活用が課題解決の重要なカギとなっています。
2.外部プロ人材の活用で得られるメリットとは
外部プロ人材の活用が企業にとってどのようなメリットをもたらすか解説します。
➀必要な量とタイミングで依頼できる
プロジェクトの内容や進捗に応じて、外部プロ人材の関与度を調整できる柔軟性も魅力の一つです。急なリソース不足や特定分野の専門知識が必要な際にも、短期間で即戦力を確保できます。このように、業務量やプロジェクトの変化に応じて調整できる点が、社内リソースだけでは対応が難しい課題を解決する手段として有効です。
➁社内にノウハウを蓄積できる
外部プロ人材を効果的に活用することで、プロジェクトを通じて社内に新たなノウハウを蓄積するチャンスがあります。特に専門知識や先端技術を持つプロフェッショナルからの学びをチームに共有すれば、スキルアップと組織力の向上につながります。ただし、この効果を最大化するには、外部人材と社内チームの連携を密にし、ナレッジ共有の仕組みを整備することが重要です。
➂スピーディーに採用できる
外部プロ人材の採用は、従来の採用活動と比べて圧倒的にスピードが早いのが特徴です。特に、フリーランス、エージェントを活用する場合、数週間以内に契約が締結され、即業務に着手することが可能です。これにより、プロジェクトの遅延や業務の停滞を最小限に抑え、迅速な成果を求める企業にとって大きな利点となります。
➃コストを抑えられる
外部プロ人材の活用は、フルタイムの正社員を雇用する場合と比較してコストを抑えられる点が大きなメリットです。特に、短期間のプロジェクトや専門スキルが必要な場合、必要なタイミングだけ依頼できるため、固定費を削減可能です。また、福利厚生や社会保険の費用が不要なケースが多く、経済的に効率的なリソース配分が実現します。これにより、予算を抑えつつ、高い専門性を持つ人材を確保することができます。
3.【実例】外部プロ人材活用の3つの失敗パターン|原因と解決策
外部プロ人材の活用に失敗した事例として、スキルのミスマッチや企業文化との不一致、マネジメントの不備などが挙げられます。
➀スキルミスマッチによる失敗事例と対策
デジタル施策を進めたいA社は、ECサイトリニューアルに向けたWebマーケティング戦略を外部のプロ人材に委託した。しかし、委託範囲の定義が曖昧で、必要なスキルや経験レベルを明確にしていなかった。採用されたWebマーケターはSEOやサイトの新規構築の経験は豊富だったが、広告運用やCRMに関する知識が不足しており、追加で別人材を採用することになった。
原因
- 広域に渡るWebマーケティング業務の中、この人材に全てを求めるのか、適切な専門人材を複数揃えるのかの方針が曖昧だった
- サイトリニューアルの業務内容とプロジェクトのゴールから逆算した外部人材への委託範囲を設計できていなかった
解決策
- 現状の業務内容を棚卸しし、課題を明確化する
- 必要なスキルと業務範囲を具体的に定義する
- プロジェクトの期間、予算、稼働条件を現実的に設定する
外部プロ人材活用における人材のミスマッチは、企業のニーズが明確化していない場合も起こりえます。そのため、自社の課題を具体的に洗い出し、「売上向上」などではなく「新規商談獲得数10%増」など明確な目的・目標を設定しましょう。さらに、必要なスキルと業務範囲を具体的に定義することが重要です。
➁企業文化の不一致による失敗事例と対策
新規事業を積極的に進めるB社が、事業開発を担当する外部プロ人材を採用した。この人材は、大企業での長いキャリアを持ち、階層的な意思決定と慎重な進め方に精通していた。B社が新規事業部門で重視していたスピード感のあるイノベーションと素早い意思決定に適応できず、プロジェクトが遅延。競合に先行されることになった。
原因
- スピードと柔軟性に関する期待値が明確に共有されておらず、問題が深刻化する前に、調整し合う機会がなかった
- 新規事業部門における特有の意思決定プロセスについて、事前の認識合わせが欠けていた
解決策
- コミュニケーションツールや報告頻度など、ワークスタイルを事前にすり合わせる
- ワークフローの共有と調整
- 進捗管理とコミュニケーションにより軌道修正できる体制づくり
スキルが優秀な人材であっても、企業文化における仕事の進め方の違いが原因で成果を出せないことがあります。そのため、候補者が自社の業務スタイルや期待する働き方にどれだけ適応できるかを見極めることが重要です。採用選考時には、候補者の過去の業務経験や働き方を具体的に確認し、自社の文化との相性を判断するための基準を明確に設定しましょう。
➂マネジメント不足による失敗事例と対策
デジタルでの情報発信に注力したいC社の広報部門が、Webサイトリニューアルのためフリーランスデザイナーを起用。類似業界の経験があり、要件定義に沿ったデザインを進めてもらったが、期日ギリギリでの納品となった。デザインの質は高かったものの、自社課題や顧客理解の不足、途中経過の確認不足により、完成後に大幅な修正が必要となった。
原因
- 定期的な進捗確認やデザイン案の共有、意見交換の場を設けなかったため、相互の認識にズレが生じてしまった
- 広報部門のプロジェクトメンバーはデザイナーに必要な情報を積極的に提供する役割を担うべきだったが、その認識が不足していた
解決策
- 定期的な進捗確認の場を設け、課題や懸念事項を共有する
- 成果物の中間チェックや軌道修正の機会を確保する
- 社内メンバーの育成プランも並行して検討する
外部プロ人材の活用には、定期的な進捗確認や成果物レビューが欠かせません。特に、「目標が曖昧」「スケジュールが不明確」ではプロジェクトが失敗しやすいです。ゴールを具体化し、KPIを設定した上で、定期的に進捗を評価する仕組みを導入しましょう。また、ノウハウの社内移転を意識した計画も並行して行うと、プロジェクト終了後の効果が持続します。
4.外部プロ人材活用で失敗を防ぐ5つの手順と注意点
外部プロ人材の活用は、企業の競争力強化に欠かせない戦略となっています。しかし、安易な導入は組織に混乱をもたらすリスクがあります。ここでは、失敗を防ぎ、最大限の効果を得るための具体的な導入手順をご紹介します。
STEP1:プロジェクトの目的と期待する成果を明確にする
まず、外部人材に期待する具体的な成果を定義します。「売上拡大」や「業務効率化」といった抽象的な目標ではなく、「3カ月以内に新製品の販促プランを構築」「半年以内に月次業務の工数を30%削減」といった定量的な目標を設定することが重要です。また、プロジェクト完了後の理想的な状態や、社内に残したいノウハウも明確にしておくことが重要です。これにより、必要なスキルや経験を持つ人材を的確に選定することができます。
注意点
・ゴールが曖昧だと、外部人材の役割も不明確になり、プロジェクトが迷走する原因になります。
・ゴール設定の段階で、社内メンバーとも共通認識を持ちましょう。
STEP2:必要なスキルと経験レベルを定義する
業務遂行に必要なスキルを具体的にリストアップします。例えば「広報経験」という漠然とした要件ではなく、「上場企業での広報部長経験」「危機管理広報の実務経験」「経営層との折衝経験」など、具体的なスキルや経験を明記します。また、テクニカルスキルだけでなく、「リモートでのチームマネジメント経験」「経営層への提案・折衝力」といったソフトスキルも重要な要件となります。
注意点
・広い要件を求めすぎると、適切な人材を見つけにくくなります。必要なスキルを優先順位順に整理しましょう。
・選考の段階で、業務遂行能力だけでなく、コミュニケーション能力やチーム適応力も確認するのがおすすめです。
STEP3:予算と契約条件を設計する
外部人材の市場相場を踏まえ、適切な予算を設定します。スキルや経験によって相場は大きく異なるため、人材エージェントなどにも相談しながら、現実的な予算案を作成することをお勧めします。また、契約期間、稼働日数、稼働場所(リモート/出社の割合)、成果物の定義、報酬の支払い条件なども明確にします。特に重要なのは、中間・最終成果物の具体的な定義と、それらの納期設定です。
注意点
・成果物の定義が曖昧だと、後のトラブルの原因になります。必要であれば、途中経過のレビューや修正フェーズも盛り込みましょう。
・契約には中途解約条件や変更可能な事項も盛り込むことを忘れずに。
STEP4:受け入れ体制と権限範囲を確認する
社内の受け入れ体制を整備します。具体的には、プロジェクトオーナー、日々の窓口担当者、評価者を決定し、それぞれの役割を明確にします。また、外部人材の権限範囲も明確に定義します。特に重要なのは、社内メンバーへの事前説明です。なぜ外部人材を導入するのか、どのような役割を担うのか、社内メンバーとどう協業するのかを丁寧に説明し、理解を得ることが重要です。
注意点
・外部人材の役割や目的を社内で明確に説明し、関係者全員の理解を得ることが大切です。これが不足すると、社内メンバーとの摩擦を招く恐れがあります。
STEP5:評価基準とマイルストーンを設定する
プロジェクトの成否を測る評価基準を設定します。KPIと定性的な指標の両面から評価基準を設け、達成時期も明確にします。また、最終ゴールまでの中間マイルストーンも設定し、進捗管理を行いやすい環境を整えます。評価は一方的なものではなく、定期的な面談やフィードバックの機会を設け、課題がある場合は早期に対応できる体制を構築します。
注意点
・進捗管理が疎かになると、プロジェクトの遅延や不完全な成果物の原因となります。進捗状況を社内外で共有する仕組みを作りましょう。
・評価基準は、外部人材とも事前に合意しておくとトラブルを防げます。
5.おわりに
外部プロ人材の活用では事前の要件定義をしっかり行い、人材のミスマッチを防ぐことが非常に大切です。また、採用後に外部人材に活躍してもらい成果を発揮するためには、社内メンバーによるマネジメントも欠かせません。
この記事に関連したホワイトペーパー「外部プロ人材活用のしくじり集と処方箋」も用意しております。お手元にダウンロードしていただき、外部人材活用におけるよくある失敗例と対策について参考にしていただければ幸いです。
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