1/21(火)「「人的資本経営」の視点からエンゲージメント戦略を展望する」ウェビナーレポート

2025年1月21日に開催したウェビナー『「人的資本経営」の視点からエンゲージメント戦略を展望する 〜2025年、組織はいかにして人と向き合うか〜』の概要レポートをお届けします。

ビジネス環境の変化や働き方の多様化により、組織における「人的資本経営」の重要性が一層高まっています。また、人的資本情報の開示義務化の動きや、従業員エンゲージメント向上への期待が企業競争力を左右する時代が到来しています。本ウェビナーでは、「人的資本経営」の視点からエンゲージメント戦略を展望し、企業の未来を形作るヒントを共催各社より解説しました。

本レポートでは、株式会社JSH様とWarisが登壇した「エンゲージメントを支えるダイバーシティとインクルージョン」についてまとめています。

エンゲージメントを支えるダイバーシティとインクルージョン

▼目次
1. 人材の流動化時代と多様性
2. 女性の活躍促進と人的資本経営
3. 障がい者雇用の推進とインクルージョン
4. 選ばれる企業になるために
5. 株式会社JSHについて
6. 株式会社Warisについて

1. 人材の流動化時代と多様性

ダイバーシティ&インクルージョンとは

まず、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の基本概念からみていきましょうダイバーシティ(多様性)とは、単に多様な人材を確保するだけではなく、組織の中で活かすことが重要となります。また、インクルージョン(包括性・一体性)は、多様なバックグラウンドを持つ人々が、公平に活躍できる環境を整えることがポイントとなります。これらが基盤となり、イノベーションを生み出すダイバーシティ経営が可能となるのです。

人材の流動化時代とダイバーシティ経営

社会全体を見渡すと、「人材の流動化時代」と言われるほど働き方が急速に変化しており、企業側がどう対応していくかが非常に大きなテーマになっています。
リモートワークや副業など、新しい働き方も増えていますが、それに合わせて企業としての課題も増えてきているかと思います。ここからは両社の専門領域である、「女性活躍」と「障がい者雇用」という2つの観点から、ダイバーシティ&インクルージョンをどう実装していくかを議論していきます。

2. 女性の活躍促進と人的資本経営

女性活躍のトレンド

日本の女性管理職比率は12.7%と依然として低水準です。対して、欧米諸国では30〜40%に達しており、各国比較においても他の先進国より低い状況にあることが分かります。働く女性自体は増えていても、課長相当職以上のいわゆるリーダーポジションに占める女性割合が1割強しかいないという現状です。

 

さらにトレンド感としてお伝えしたいのが、次の2点です。
1つ目は、2023年3月期決算から上場企業を対象に、女性管理職比率の人的資本情報開示が義務化されていることです。これは企業側が女性の活躍推進情報を対外的に示し、企業価値を高める狙いも含まれています。2つ目は、厚労省による「女性活躍推進法の改正案」です。2026年4月からの施行を目指しており、従業員数101人以上の企業に対して、女性管理職比率や男女の賃金差を公表する義務化が示される見通しです。およそ5万社が対象になると言われています。

このように、いわば「国としても多様な人材が活躍できているかを確認していく」動きが強まり、機関投資家などからも女性活躍の情報が投資判断に使われているという状況があります。

女性活躍の推進が企業にもたらす効果

大企業・中小企業問わず、人手不足の課題は非常に深刻で、東京商工リサーチの調査では大企業の8割弱が人手不足を感じていると回答しています。こういった背景から、キャリア採用のニーズが増加している状況です。
Warisは、女性の「プロ人材」や「リーダー候補人材」を紹介することによって、企業の事業成長を支援しています。女性のフリーランスや社員(管理職候補)を活用することで、ダイバーシティ促進につながります。具体的には、専門性の高い業務をプロ人材へ委託し、組織全体のパフォーマンスを向上させたり、女性視点の商品・サービス開発で消費者インサイトを深掘りできるなどのめなどの効果が期待できます。

また、女性リーダーが企業内で育成されることで、管理職層の多様化が進み、意思決定の幅が広がります。これにより、より柔軟で包括的な経営が実現できます。

 

3. 障がい者雇用の推進とインクルージョン

障がい者雇用の現状とトレンド

まず、人的資本経営の情報開示の中で「障がい者雇用率」に関する項目は現状まだ含まれておりません。一方で、欧米などでは、人的資本開示の中に「障がい者雇用やインクルージョン」の指標を設けるのが一般的です。日本においても今後、法定雇用率の改定や合理的配慮の義務化が進むにつれ、このテーマが人的資本開示の中に含まれる可能性は十分あると言えます。
ただし、日本企業では、障がい者雇用における「法定雇用率の達成」や「合理的配慮の提供」がなかなか十分に進まず、“どう雇用すればよいかわからない”という課題感を持たれているケースが非常に多いです。

障がい者雇用の意義とは

障がい者雇用を推進することで生まれる価値やメリットは多く、次のような効果が期待できます。

  • 生産性向上(多様性から新しい視点や業務効率化が促される)
  • 組織変革(同質性が高い組織から、多様なアイデアが生まれる組織へ)

例えば商品開発において、女性視点が重要になるのと同じで、障がい者の方の視点がイノベーション創出につながる例も増えています。日本全体で見れば、高齢化や地方の過疎化なども含めて、これまで埋もれていた多様な人材をどう活用していくかが大きなテーマです。障がい者雇用はまさに人的資本経営の一部として、多様な価値を生み出す仕組みづくりの重要な要素になり得ると考えています。

 

障がい者雇用の地方雇用格差

JSH社は九州を中心に事業展開をしていますが、地方では特に「障がいのある方が働く場所が少ない」という現実があります。雇用機会の格差を解消し、企業様とのマッチングを図ることで、企業側の法定雇用率達成にとどまらず、新しい価値を生み出す人材活用につなげたいという思いで事業を行っています。企業様との取り組み事例としては、単なる法定雇用率を満たす手段ではなく、「地域社会への貢献」や「CSR・SDGsの文脈」でのシナジーを狙うケースも増えているのが特徴です。

 

4. 選ばれる企業になるために

インクルージョン実現の共通課題

実際の企業現場では、多様性を確保するだけでなく「インクルージョン」をしっかり推進していくために、以下のような課題が挙げられます。こういった観点は、女性の管理職登用にしても障がい者雇用にしても共通する部分が多いです。

  • 無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)
  • 制度策定と運用のギャップ
  • 多様性のメリットを具体的に理解できていない

ダイバーシティ推進の重要ポイント

  • 経営層のコミットメント
    • 経営層がダイバーシティ推進の重要性を理解し、明確な目標を設定することが必要。
    • 例えば、女性管理職比率の向上、障がい者雇用率の改善などをKPIとして設定。
  • 現場での受容と実践
    • ダイバーシティ推進の方針を現場レベルで理解・実践できる環境を整える。
    • 社内研修やワークショップを通じた意識改革が重要。
  • 柔軟な働き方の導入
    • 女性や障がい者が働きやすい環境を整備するために、リモートワークや短時間勤務などの柔軟な勤務形態を採用。
  • データ活用と情報開示
    • 人的資本経営の観点から、企業のダイバーシティの状況を可視化し、外部に情報開示することが企業価値の向上につながる。

5. 株式会社JSHについて


https://www.jsh-japan.jp/cordiale-farm/

株式会社JSHは「完全屋内型農園」を複数拠点運営しており、そこに障がいのある方々が雇用される仕組みを提供しています。特徴としては、以下の2点があります。

  • 様々な障がい特性の方が農作業を通じて働きやすい屋内環境を整備
  • 地方(特に九州圏)で働く機会の少ない障がい者の方にも就労の機会を創出

現在は、約200社ほどの企業様に導入いただいており、単なる法定雇用率ではなく新しい職域の開発や地方人材の活用、企業ブランディングに寄与できるサービスとして評価をいただいております。

今後も『就労機会に恵まれない障がいのある方』と『雇用したくても中々雇用が進まない企業』をつなげる架け橋として事業を展開していきます。

6. 株式会社Warisについて

「Live Your Life – すべての人に自分らしい人生を」というビジョンのもと、女性が能力を発揮できる社会づくりを目指して、2013年に創業しました。現在12年目に入り、以下の3つの事業を展開しています。

  • Warisプロフェッショナル
    • 広報やデジタルマーケティングなど、専門性の高い女性フリーランス人材(登録者数2万名以上)を業務委託契約でご紹介。企業の事業課題を解決するマッチングサービス。
  • Warisリーダーズキャリア
    • 女性のリーダー・マネージャー層の社員紹介を行うサービス。課長相当職以上を担う人材を企業様にご紹介。
  • Warisエグゼクティブ
    • 女性役員・社外取締役などエグゼクティブ層のご紹介。会社の意思決定層を多様化し、企業の競争力を高めるご支援を行う。

このような形で、多様な働き方や多様な人材活用を企業様にご提案しつつ、女性活躍の推進・事業成長の加速をお手伝いしています。


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