理不尽な保育園探し!産休なし・産後2ヶ月で仕事に復帰するフリーランス(業務委託・自営業)ママの事情

「フリーランスは産休や育休がないって本当?」
「フリーランスに興味があるけれど、子どもを保育園に預けられるか不安」

働く女性の皆さんとお話する中で、そんな疑問や不安の声をたびたび耳にします。
結論から言えば、産休や育休がないというのは本当です。出産や育児のために仕事を休むことは個人の自由ですが、休業期間が長くなると、子どもを認可保育園に入園させることが難しくなるなど、いくつかのデメリットがあるのが現実です。

なぜそのようなことが起こってしまうのか。フリーランスの広報として活躍するAさんの事例を見てみましょう。

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Aさんは38歳。大手メーカー2社で培った広報・PRの経験を活かし、3年前にフリーランスとして独立しました。現在は「業務委託」という形態で、ベンチャー企業など数社の広報戦略立案を担当しています。

プライベートでは、5歳になる女の子のママ。待望の長男を妊娠し、来月出産予定です。この3年間、仕事に育児に全力で走り続けてきたので、2人目出産を機に1年ほど育休を取り、家族と向き合う時間を作りたいと考えています。Aさんの仕事ぶりを信頼していたクライアントは、「産後、落ち着いたらぜひ戻ってきてください!」とあたたかい言葉をかけてくれました。

こうして産休に入ったAさん。時間ができたので、「少し気が早いかな」と思いながら、区役所に足を運び、長男の保育園について相談することに。ところが、そこで区役所の職員が口にしたのは、思いもよらない言葉でした。

「産後2ヶ月で仕事に復帰しないと、上のお子さんに保育園を退園してもらうことになります」

Aさんは耳を疑いました。会社員時代、長女を出産した時は、1年間の育児休業を取得できたのに。

Aさんの住む地域は待機児童が多く、一度保育園を退園すれば、仕事を再開するとき元の園に戻れるという保証はありません。毎日保育園に行くことを楽しみにしている長女を、友達から引き離し生活が一変するのも心配です。

育休は働く人の権利ではないのかとAさんが尋ねると、職員は申し訳なさそうにこう答えました。

「育児休業は、会社に雇われ、雇用保険に加入している人のための制度です。自営業の方が、産後お仕事を休むのは自由ですが、それは法律で決められた『育休』ではないので、下のお子さんの育休中、上のお子さんの退園を免除するという措置を適用することができません」

産後1年間は子どもとゆっくり過ごす…というビジョンが崩れ、Aさんは言葉を失いました。

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特に2人目以降の出産を予定している方は、一定期間(産後57日という自治体が多いようですが、期間や条件は自治体によってさまざまです)を超えて仕事を休むと、休業状態と見なされ、上のお子さんが保育園を退園しなければならないことがあるので、注意が必要です。

産休・育休が取得できないということは、会社員なら産休・育休中に支給される「出産手当金」や「育児休業給付金」も受け取れないということ。

働かなければその分収入が途絶えてしまうという経済的な事情も、出産したフリーランス女性の復帰を早める大きな要因になっています。

落ち込んだ気持ちを立て直し、「産後、できるだけ早く仕事に復帰しよう」と決めたAさん。しかし、出産後も働き続けたいと願うAさんの前に、この後さらにフリーランスならではの壁が立ちはだかります。

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「まだ体調も安定しない時期に仕事を再開するなんて…」と一度は仕事を続けることをあきらめかけましたが、夫が「できる限り協力する」と約束してくれたこともあり、「産後、できるだけ早く仕事に復帰しよう」と決意しました。

無事に長男を出産後、すぐに保育園探しを始めますが、そもそも生後2ヶ月から子どもを預かってくれる保育園が限られている上、認可保育園は数百人の待機児童が名前を連ねている状態。年度途中での入園は現実的ではありません。

都の認証保育園や認可外保育施設にも問い合わせましたが、どこも定員はいっぱい。仕方なく、自宅で長男の世話をしながら少しずつ仕事を再開することにしました。

日中、子どもが眠っているわずかな時間や、夜の睡眠時間を削って仕事をするようになったAさん。産後の疲れもあり、育児と仕事の両立は決して楽ではありません。長男が1歳になる来年の4月には何とか保育園に入園したいと、再び区役所に足を運びました。

区役所で手渡された保育園の入園書類には、「利用調整基準」という指数表が添付されています。この指数を基に、保育園に入園できるかどうかが決まるのです。

Aさん「育休明けで仕事に復帰する場合、2点の加点がもらえるのですね」

区の職員「はい。しかし、自営業の方はそもそも『育休』という概念がないので、加点の対象になりません」

A「でも、私は既に仕事を再開しているんですよ」

職員「都の認証保育所や、ベビーシッターを利用していますか?」

A「いいえ。認証園はどこもいっぱいですし、ベビーシッターは値段が高くて頻繁には利用できません」

職員「申し訳ないのですが、ご自宅でお子さんを見ながらお仕事をしている場合、さらに1点の減点になります」

Aさんの住んでいる地域では、1歳児クラスに入園を希望する子どもが非常に多く、1点の違いが、入園の可否を大きく左右します。たかが1点かもしれませんが、Aさんにとっては、仕事を続けられるかどうかの分水嶺になる大きな1点です。Aさんは怒りを抑えて聞き返しました。

A「つまり、産後2ヶ月で、やむを得ず自宅で子どもをみながら仕事を再開したフリーランスより、1年間育休を取得して、仕事に復帰する正社員の方が、認可保育園の入園には有利ということですか?」

職員「はい、そういうことになります」

産後すぐに仕事を再開しなければ上の子が退園になると聞いたから、下の子の保育園が見つからないまま無理を押して仕事に復帰したのに、今度は自宅で働いていることを理由に、下の子が保育園に入れない――

あまりの理不尽さに、Aさんは言葉を失って呆然とするばかりでした。

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多数の待機児童を抱える自治体は、育休から復職する親の便宜を図るため、認可保育園の入園基準で「育休明け加点」の制度を設けている場合があります。

もともと、仕事と育児を両立する人を応援するためのしくみなのですが、現行の認可保育園制度は、「夫婦二人ともフルタイム正社員」というモデルケースを基準に作られているため、結果的に、自営業者に不利になってしまうのです。

育休明け加点のほかにも、自治体によってばらつきはありますが、自宅で子どもを世話しながら仕事をする「同伴就労」によって入園の優先順位が下がったり、自宅をオフィスにしているだけで、そもそも基本の点数が低くなってしまう場合もあります。

フリーランスのような新しい働き方をしたい子育て/プレ子育て世代の現状に、制度が追いついていないと言えるのではないでしょうか。

【注】Aさんのストーリーは、複数の事例を基に編集部が構成したフィクションです。

※本記事は2017年時点のものとなります。認可保育園入園の審査基準や加点・減点の内訳は、自治体によって異なります。

文/ライター 髙橋実帆子


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