フリーランスは育休をとれるの?活用できる育児支援制度と事前準備
こんにちは。
Waris共同代表/フリーランス協会理事キャリアコンサルタントの田中美和です。
フリーランスとして働く中で、「出産や育児のとき、キャリアはどうなるんだろう?」と不安に感じる方は少なくないでしょう。
確かに、フリーランスは会社員のような育休制度の対象外です。しかし、それはキャリアを諦める理由にはなりません。むしろ、この期間をどう捉え、どう準備するかが、その後のキャリアを大きく左右するのです。
この記事では、私が多くのフリーランス女性のキャリアを支援してきた経験から、活用できる公的制度はもちろん、産休・育休期間をキャリアのプラスに変え、しなやかに働き続けるための具体的なヒントをお伝えします。
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2. フリーランスが活用できる育児支援制度
2-1. ① 妊婦健診の補助
2-2. ➁ 出産育児一時金
2-3. ③ 国民年金保険料の免除
2-4. ④ 児童手当
2-5. ➄ 子どもの医療費助成
3. 産休・育休期間をキャリアのプラスに変える3つの準備
3-1. クライアントとの「パートナーシップ」を深化させる
3-2. キャリアを止めないための「自己投資」
3-3. 不確実性を楽しむ「キャリアドリフト」の視点を持つ
1. そもそもフリーランスは育休をとれるの?
結論からお話しすると、フリーランスは育休(育児休業制度)を取得できません。
育休の対象は、労働基準法で「雇用された労働者」と決められているので、雇用されていないフリーランスは対象外となってしまうのです。
さらに、育児休業給付金も育休中の労働者の収入を保障するものなので、育休の対象外であるフリーランスがもらうことはできません。
今後、フリーランスの増加で法改正の可能性もありますが、フリーランスは会社員と比べて保障が薄いのは否めないですね。
そのため、多くのフリーランスが出産後の早い段階で仕事に復帰しているのが現状です。
出産・育児を経験して仕事を継続しているフリーランスの「約59%」が、2ヶ月以内に仕事に復帰しているという調査結果も出ています。
参考:2017年 雇用関係によらない働き方と子育て研究会調べ(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/20170330001.html
2. フリーランスが活用できる育児支援制度
育休や育児休業給付金の対象外であるフリーランスでも、いくつかの育児支援制度を利用することができます。
制度をうまく活用すれば育児にかかる出費を抑えることができるので、申請を忘れないようにしましょう。
① 妊婦健診の補助
妊婦健診の費用では、各自治体が実施する補助制度があります。
健診の回数や補助金額は自治体によって異なりますが、平均14回以上の健診に対して約10万円ほどが補助されています。
利用する方は事前に住んでいる自治体に問い合わせて、参考資料や申請書を直接受け取りましょう。
➁ 出産育児一時金
出産育児一時金は、健康保険から支給されるお金です。
国民健康保険に入っていると、フリーランスでも出産育児一時金を受け取ることができます。
市役所に申請することで、出産にかかる費用のうち42万円が軽減されます。
参考:出産育児一時金について(全国健康保険協会)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r310/
③ 国民年金保険料の免除
国民年金では、2019年度から産前産後期間の免除制度が始まっています。
つまり、フリーランスでも出産前後の4ヶ月間は国民健康保険料が免除されます。
例えば、仕事ができない状況で収入がない場合、国民年金保険料の免除を受けると支払わずに済みます。
収入が減っている場合でも、免除制度の利用を検討しましょう。
免除期間の国民年金に関しては納付した扱いになるので、将来的に受け取る額に反映されるのが助かりますよね。
出産予定日の6ヶ月前から届出ができるので、市区町村に忘れずに申請してください。
参考:国民年金保険料の産前産後期間の免除制度(国民年金機構)
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20180810.html
④ 児童手当
生まれてから中学卒業までの間は、児童手当を受け取ることができます。
支給額は3歳未満で一律15,000円(所得制限あり)。
児童手当の支給は申請した月の翌月分からなので、出産後速やかに申請しましょう。
➄ 子どもの医療費助成
子どもの医療費助成は、各自治体が行っている制度です。
例えば、子どもが病院で診察を受ける場合、各自治体が医療費を助成してくれるので、経済的な負担を減らすことができます。
助成内容は各自治体によって異なるので、お住まいの市区町村のWebサイトで確認して申請してください。
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3. 産休・育休期間をキャリアのプラスに変える3つの準備
フリーランスにとって、産休・育休期間はキャリアを見つめ直し、次なる飛躍につなげるチャンスです。そのために、以下の3つの準備をおすすめします。
3-1. クライアントとの「パートナーシップ」を深化させる
「休むこと」を伝えるだけでなく、クライアントの負担を最小限にするための配慮が、復帰後の信頼につながります。業務をマニュアル化したり、信頼できる同業者を後任として紹介したりと、プロとして主体的に動くことで、「あなたに戻ってきてほしい」という強固なパートナーシップを築くことができます。
3-2. キャリアを止めないための「自己投資」
産休・育休期間を、キャリアの「ブランク」ではなく、次への「インプット期間」と捉えてみましょう。 育児の合間にオンライン講座で新しいスキルを学んだり、興味のある分野のコミュニティに参加して人脈を広げたり。復帰後を見据えた自己投資が、あなたの市場価値をさらに高めてくれます。
3-3. 不確実性を楽しむ「キャリアドリフト」の視点を持つ
子育てもキャリアも、計画通りに進まないことばかりです。キャリア理論に「計画された偶発性理論」というものがあり、キャリアの8割は予期せぬ出来事によって決まると言われています。
あえて計画に固執せず、偶然の出会いや状況の変化を楽しみ、キャリアの新たな可能性を探る。そんな「キャリアドリフト」の視点を持つことで、心に余裕が生まれ、より豊かなキャリアを築くことができるでしょう。
4. ライフイベントを力に、自分らしいキャリアを築こう
会社員と比べると、フリーランスの育休は不安定かもしれません。しかしそれは、「自分次第で働き方もキャリアも自由にデザインできる」ということでもあります。
出産や育児という経験は、決してキャリアのブランクではありません。視野を広げ、新しい価値観をもたらし、仕事に深みを与えてくれる貴重な機会です。
私自身、多くの方のキャリアを見てきて、「キャリアにアップもダウンもない」と感じています。 制度を賢く活用しつつ、その時々の変化を楽しみながら、あなたらしいキャリアを前向きに築いていってください。Warisは、そんな皆さんの挑戦をこれからも応援し続けます。
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Waris共同代表・国家資格キャリアコンサルタント
田中美和
大学卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現日経BP社)入社。編集記者として働く女性向け情報誌「日経ウーマン」を担当。フリーランスのライター・編集・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年多様な生き方・働き方を実現する人材エージェントWarisを共同創業。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』。一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリア ・フリーランス協会」理事