6/24(月)「『自信がない』でも大丈夫!女性がリーダーとして成長するために必要なこと」ウェビナーレポート

■ はじめに

2024年6月24日に開催した、ワークシフト研究所×Waris共催ウェビナー「『自信がない』でも大丈夫!女性がリーダーとして成長するために必要なこと」のレポートをお届けします。

今回はワークシフト研究所代表で女性管理職育成やリーダーシップ開発の専門家でもある小早川優子氏と国家資格キャリアコンサルタントで前職時代もふくめて20年以上にわたり女性のキャリア形成にたずさわってきたWaris共同代表田中美和によるパネルトーク形式で進行しました。


▼目次
1. リーダーシップに対する不安解消はどうしたら払拭できますか?
– 自信がないことへの対策やヒントを求めている。
– リーダーシップに対する苦手意識を払拭したい。

2. リーダーに必要なスキルとは?そのスキルを向上するには?具体的に何が必要?
– リーダーとしての資質やスキルを学びたい。

3. リーダーとしてのキャリア形成において女性特有の課題はあると思われますか?
-結婚や出産でのキャリアブレイクを経験したため、自信がない。
-目指すべきロールモデルがいない。
-男性中心のコミュニケーションや組織風土の中でやりづらさを感じる。
-転職や昇進とライフイベントとのバランスの取り方を知りたい。


1. リーダーシップに対する不安解消はどうしたら払拭できますか?

心理的安全性の高い環境をつくり、メンバーの意見をうまく吸い上げて組織を活性化させるリーダーが求められている

「コーチングで年間300人程度の方々と会話をしていますが、「自信がない」と仰る方はとても多いですね。私の本の題名(なぜ自信がない人ほど、いいリーダーになれるのか)にもなっていますが、自信がないことは決して悪いことではありません。皆さん、リーダーたるもの自信がないといけない、と強く思い込む傾向があるなと思います。「自信がない」というのは、物事を慎重に進めたり、周囲の意見をよく聞く、という行動の源泉にもなります。これからのリーダーというのは、これまでのトップダウン式マネジメントの強いタイプのリーダーよりも、メンバーが発言しやすい心理的安全性の高い環境をつくり、メンバーの意見をうまく吸い上げて組織を活性化させるリーダーが求められています。始めから自信満々だと、他の人の意見を受け入れづらいというデメリットもあると思いますので、自信の無さはむしろ持っていてほしいですね。」(小早川氏)

「自信がないことは、むしろ強みにもなるということですね。」(田中)

「面白い研究結果があって、【自分に自信がある人で構成されるグループ】と【自分に自信がないグループ】に長期の投資をさせてみたところ、最終的に後者の【自信がないグループ】のほうが投資結果が良く、リターンが大きかったそうです。」(小早川氏)

自信がないからこそ、学ぶ意欲につながる

「小早川さんの著書の中で、「自信がないくらいがむしろちょうど良い。自信がないからこそ、学ぶ意欲につながる。」とありました。学ぶ意欲やリスキリングが大切ということになりますね。メンバーひとりひとりの意見を聞き、多様な意見をベースにメンバーを巻き込んで仕事が進むイメージですね。経済協力開発機構(OECD)のデータを参照しても、日本人は全世界でも学ばない国の位置づけでしたよね。
他にも、自信がないことがプラスにつながった事例はありますか?」(田中)

「これは男性の例になりますが、先日訪問した企業にて、営業としての実績を評価されてマネジャーに昇格した方がいらっしゃいました。その分野に関しては誰よりもよく分かっていると自負されていたものの、マネジメントでは空回りしてしまい、マネジャーとして成果を出せず落ち込んだそうです。その結果、違う部署のマネジャーにスライドで異動となりましたが、自分がこれまでやってきていない分野を管轄するチームのマネジメントだったため、まったく自信が無かったそうです。マネジャーとしての仕事、主には意思決定や上層部との連携などをしっかりやりつつ、自分が見識が浅いところに関してはチームの皆に教えてもらいながらメンバーを巻き込んで仕事を進めていったところ、以前より評価が高くなったそうです。新しいリーダー像が求められている典型ではないでしょうか。」(小早川氏)

人は、マイノリティになるだけで自信をなくす傾向がある

「小早川さんのご著書では、【自信がないこと】イコール【自分の能力が無いからだ】とつなげてしまう人が多いのは、環境がそうさせていると書いてありました。この点に関して詳しく教えていただけますか?」(田中)

「人は、マイノリティになるだけで自信をなくす傾向があると言われています。特に女性は、新卒時はマジョリティだったのに、育児が始まったり管理職に昇格すると社内でマイノリティになることが多いですよね。現在の社会構造上、管理職はまだまだ男性が多いですし、女性の意思決定層はマイノリティになりやすいので、自信がなくなってしまうのは自然なことです。
そして、新卒からコツコツ頑張って管理職になるような年齢層の女性は、男性的なリーダー像を植え付けられていることも多いので、そこに当てはまらない自分はダメなんだと思い込んでしまう。社会の構造上、女性は能力があっても自信をなくしてしまう環境にあるということを理解してほしいと思います。」(小早川氏)

「私もこれまで多くの女性のキャリアと向き合ってきましたが、6,7割の女性が「自分に自信がない」と仰います。社会や社内のカルチャーなど、なかなか自信をつけにくい構造になっているので、自身の能力が低いとは思わないでほしいですね。」(田中)

2. リーダーに必要なスキルとは?そのスキルを向上するには?具体的に何が必要?

会社やビジネスを俯瞰して見られるようになるために経営学の全般的な知識が必要

次に、パネルディスカッションの2つめの質問について小早川氏にお話を伺いました。

「これは、私が経営するワークシフト研究所のプチMBAマスタープログラムでも教えていいることなのですが、リーダーは経営学の全般的な知識を持っていたほうが良いですね。会社やビジネスを俯瞰して見られるようになります。
また、通常はビジネスモデル、ビジネス戦略、財務などに関して女性が学ぶ機会は男性に比べて圧倒的に少ないと言われています。それはなぜかと言うと、男性と女性は受けられるアドバイスが違うんですね。男性向けは、ビジネスに関する具体的なアドバイスが多いなか、女性に対してはどうしても調和、他者の巻き込み、コミュニケーションの重要性などというアドバイスに偏りがちです。その結果、女性の場合はビジネス知識や運営上のTIPSなどが身に着く機会が少なくなってしまっています。」(小早川氏)

「ガラスの天井、ガラスの壁とも言われていますが、与えられる仕事・配属する部署に関しても女性と男性で違うことは多いですよね。得られるフィードバックも、男女で違ってくるということなんですね。
例えば、特別に女性だけを集めて研修をすることなどに疑問を抱く人もいますが、この点に関してはどうお考えですか?」(田中)

女性は、男性と自分たちの間に、「得られる機会や評価されるポイントの差異」があることに気づかないことも多いと思います。実は、見えていない差異がたくさんあるんですね。リーダーシップを取ることだったり、管理職になるというのは他者に対する影響力が大きくなりますが、男性のリーダー、女性のリーダーそれぞれ期待されるポイントが異なることもまだまだ多いです。女性リーダーは、コミュニケーションを上手に取れるタイプでないと評価されず、寡黙なリーダーは好まれない傾向にあります。しかし、男性リーダーは寡黙なほうが逆に好かれるケースが多いですね。女性リーダーのマイノリティ性をうまく活用するために、差異を理解すると良いと思います。その点、全社研修だと少数派になってしまう女性だけを集めて研修をするというのは大変有効だと考えます。」(小早川氏)

女性リーダーは寄り添いやコミュニケーションの対応などから部下からの満足度が高いケースが多い

「今は、若年層、外国籍を始めとし、様々な多様性に寄り添える新しいリーダー像が求められていますよね。女性リーダーに特に求められていることとは何でしょうか?」(田中)

「日本以外では、女性リーダーに対する評価のほうが高いケースも多くなっているそうです。寄り添いやコミュニケーションの対応などから部下の満足度も高く、会社に対するコミットメントや働きやすさの改善に向けたアクションなど、女性リーダーのほうが得意と認識されている分野もあります。
ただ、「優しいリーダー=仕事ができない」という評価になるのは男女同様なので、気を付けたほうが良いですね。」(小早川氏)

「視聴者の方から、『女性としてリーダーになることに対して、メンバーの感情を受け止めないといけないのではないかということに抵抗がある。男性リーダーだと感情の受け止めまではあまり期待されないのではないか』というコメントをいただきました。何かアドバイス等ありますでしょうか?」(田中)

「女性がマネジメントをするにあたって、感情を受け止めるという面でコーチング手法はとても有効だと思います。共感力というのは2種類あります。一つめは、誰かが転んだ時に「わ!痛そう!」と直感的に共感する【情緒的な共感】、二つめは、この人は転んで大きめの傷が出来て血が出ているからこれくらい痛いだろうな、と分析したうえで共感する【認知的な共感】です。
様々な事象に対して、共感はするけど精神的に共感する必要はありません。なぜなら、情緒的な共感の場合、自分が経験したことに対しては共感できますが、未経験のことに対しては共感できないからです。一方で、事象を認知して分析したうえで共感するという認知的な共感だと、精神的に疲弊するのも回避できます。」(小早川氏)

マイノリティがやりたいことはマジョリティにとって何の利益があるのか、ということを一緒に提案する交渉術を磨く

「今日お話をお伺いして、経営学の知識、コーチングスキルがあると良いというのはよく理解できました。
加えて、女性リーダーとして交渉術を身に着けると良い理由を教えていただけますか?」(田中)

「マイノリティが何をするにも、マジョリティを味方にする必要があります。というのは、マイノリティが推し進めたいことは、そこに属する人でない限り理解されづらいため、単体ではなかなか進まないことが多いです。マイノリティがやりたいことはマジョリティにとって何の利益があるのか、ということを一緒に提案しないと受け入れられないんですね。自分にとっても、相手にとってもWin-Winになる点を探し、その点をアピールして交渉をする必要があります。この交渉術は、ステップアップ転職にも大変有効ですね。」(小早川氏)

「自分らしい働き方がしたいという方と企業のマッチングのお手伝いをしてきましたが、条件調整の交渉が得意でない方も多いので、交渉術を身に着けるのはとても良いですね。」(田中)

3. リーダーとしてのキャリア形成において女性特有の課題はあると思われますか?

次に、パネルディスカッションの3つめの質問に移りました。事前アンケートでも多くご質問をいただいていた女性特有の課題、キャリアブレイクやロールモデル不在、ライフイベントとの両立などについて詳しくお話をお伺いしました。

リーダーというのは影響力そのものだからこそ、自分の発言・振舞いに対して敏感になるべき

「「自信がない」ということに関しては、自分の強みや弱みをはっきりさせてチームメンバーを巻き込んでいくためにも自信がない時は正直にメンバーに伝えても良いと思いますが、メンバーを不安にさせるような伝え方はしてはいけないと思います。」(小早川氏)

リーダーというのは影響力そのものだからこそ、自分の発言・振舞いに対して敏感になっていかないといけないということですね。今回のウェビナーは女性を中心にご参加いただいていますが、キャリア形成における女性特有の課題を小早川さんはどう捉えていらっしゃいますか?」(田中)

「まず、キャリアブレイクに関して、当事者はとても焦ると思うのですが、昔、先輩のワーキングママさんに言われたことがとても心に残っています。それは、「子育ては挽回できないけど、仕事は挽回できるよ。」という言葉です。自身のライフステージに合わないため管理職の打診を断ったり、時短勤務になったとしても、今はこういう理由で管理職を希望しない、時短勤務をしたい、と正直に伝え、将来的にいつのタイミングで挽回したいと考えているなどの意向は伝えておくのが大切だと思います。挽回できるように準備しておくというイメージです。
男性よりも男性的でないと評価されなかった時代を経て、今はだいぶ状況が代わっているので自信を持ってほしいですね。」(小早川氏)

「そうですね。人的資本経営や、ダイバーシティ経営と言われるようになり、目指すべきリーダー像が変わってきているので女性にとっては追い風ですね。」(田中)

「今求められるリーダーとは何なのかをよく考え、環境変化にしなやかに対応できる思考力を鍛えるリスキリングができると良いですね。」(小早川氏)


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