人生100年時代の「逆転採用」とは?~「1億人のちがいをチカラに変えるHRミートアップ」イベントレポ―ト
先日、Warisでは、NPO法人ETIC.様とロート製薬株式会社様と一緒に、「1億人のちがいをチカラに変えるHRミートアップ ~人生100年時代の『逆転採用』をみんなで考える~」を開催いたしました。
今回のイベントの主旨は、人生100年時代において企業と社会の変革に取り組むためのヒントを得て一緒に推進していくための仲間づくりを行うこと。
人生100年時代を迎えて、社会構造だけでなく、企業の存在意義が大きく変化している中で、高度成長期の時代以前から脈々と続く人事や採用のあり方も大きく転換する必要があります。これまで見逃されていた人材への着目や、採用プロセスの転換などにより、企業の多様性とイノベーションを拡大するための、人生100年時代の新しい採用コンセプトを「逆転採用」と称し、イベント参加者のみなさまと一緒に学び、考えるイベントとなりました。
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人生100年時代の企業における採用のあり方
第一部のキーノートでは「人生100年時代の企業における採用のあり方」と題して、40歳定年制の提唱者である東京大学の柳川 範之教授にご講演いただきました。
現在、人口減少、高寿命化、AI(人工知能)等の技術革新の進展、グローバルなパワーバランスの変化などにより、働き方をめぐる大きな構造変化が起こっています。また、産業構造も急速に変化しており、フィンテックなどの新しい産業も生まれ、今までと全く異なった産業間連携・企業間連携が生じるようになってきます。
それらの状況を踏まえて、柳川先生からは
「このような組織の変化や産業の変化に伴い、急速な変化にいかに人材を適合させていくかが大きな検討課題。どうやって、技術革新をより有意義な働き方に結び付けていくか、今後必要とされる能力をどう把握するか、いかに優れた人材を確保するかが各企業にとって深刻な課題になってきる。その一方で、会社の中に人材を囲い込む戦略は限界を迎えようとしており、これからの企業に求められるのは人材をひきつける力である」
「ひきつける力とは、単に給与や肩書ではない、有意義な働き方・生活の仕方ができるか、多様な働き方が用意されているか、必要な能力を身に付ける機会があるか、外に向かって開かれる組織かなど様々な要素とのことである」
との示唆がありました。
そのため必要な「教育制度の拡充」や「兼業・副業の前向きな整備」が重要であることや、企業が人材をひきつける力において、日本はグローバル視点では遅れをとっている現状を認識しつつ、今後は企業と企業の連携だけではなく、人材と人材が連携するための仕掛けをもっとオープンにつくっていく必要があるとのお話しをいただきました。
ヤマハ、日本航空、ロート製薬…新たな採用に取り組む企業の先進事例
第2部のトークセッションでは、新たな採用に取り組む企業として、ヤマハ発動機株式会社、日本航空株式会社、ロート製薬株式会社の3社にご登壇いただきました。
まずは各社の「逆転採用」の事例についての簡単な紹介をしていただきました。
トップバッターはヤマハ発動機の白石様より「難民採用」の事例のご紹介。
二番手は日本航空の大田様。昨年Warisもご協力させていただいた「ワークアゲイン人財の採用」についてもご紹介いただきました。
そして、最後はロート製薬の矢倉様。ロート製薬のこれまでの採用を振り返り「カムバック採用」や「副業」についてご紹介いただきました。
ぶっちゃけどうなの?逆転採用のリアルとは?
事例発表の後は、3社によるトークセッション。参加者の関心が高い内容を中心にファシリテーターが登壇者に切り込みました。
Q:今回のイベントのテーマは「逆転採用」ですが、みなさん何を逆転させ、新たな取り組みに至ったんですか?
矢倉様(ロート製薬):ロート社ではカムバック採用に関しては、事例が先にありました。事例をスタートしてから仕組をつくったんです。仕組みを先につくるのではなく、事例ありきで仕組みをつくっていくというところが「逆転」といえるかもしれないですね。
Q:逆転人財の価値をどのように評価していますか?
白石様(ヤマハ):通常は優秀な人というのは、すべてがバランスよくできる人を指していて、何かができない人は目立つ傾向があります。苦手なことはだれでもあります。この人はこういうことができない人というラベルを貼るのではなく、苦手なことがあるのであれば、誰かそこをカバーすればいい、チームで成果をだせばいいというという発想で、逆転人財一人ひとりの得意を生かすようにしています。
Q:うまくいかなかったことはありますか?
大田様(日本航空):すごくいい人材を採用したにもかかわらず、配置に失敗したことはあります。いきなり入ってしまうと、業務でつかっている言葉自体が違いすぎて、ついていけないという部署もあるんです。ですが、人事部では人が空いていて穴が開いているところに人材を配置しなければいけません。アンマッチかもしれないと思いながら、人を配置した結果としてうまくいかなかったこともありました。制度や働き方も大事だけど、配置も大事だなと実感しました。
Q:ちがいをチカラに変える鍵とはなんですか?
白石様(ヤマハ):多様な人がいて多様な役割があって、いろんな活躍の仕方があるんですよね。本人の生きる役割をどんどん作り、自分が何なのか知ることや、個人個人が非常に重要な時代になっています。多様性を生かせるマネジメントをどう作るかが大事で、評価軸ではないと思っています。
矢倉様(ロート製薬):働くことや生活することで幸せになりたいと思う人が多いですが、幸せになることって何でしょうか。同じような人たちで集まることが果たして幸せか。同じような人たちが集まるとつい違いに注目して差が気になり、順位やランクをつけがちになります。もともと多様で違いがあるほうが比べなくてすむんです。そのほうがもっと幸せだと思います。
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逆転の発想で新たな採用にチャレンジする3社の取り組みは、どれも画一的な制度ありきではなく、これからの時代に鍵になってくる「個」を大事にする採用方法だと考えされられるトークセッションとなりました。
変革を起こし、未来をつくっていく仲間との妄想採用ブレスト
そしてイベントの最後には、参加者の交流を深めるためのネットワーキングタイム。単なる交流会ではなく、同じ課題意識をもつ仲間として、より深い交流をしていただくために「妄想採用ブレスト」を行いました!
今後も、今回のイベントにご参加いただいた方々を中心に仲間を増やし、人生100年時代において企業と社会の変革をしていきたいと思っています。
イベントにご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!
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