社内副業のメリットと制度設計のポイント ~サーキュラーHRイベントレポート

新型コロナウイルスの影響により、社会や経済、雇用の在り方が大きな転換点を迎えています。

そういった先行きが見えない中、失業者や休業者の増加など、「人材ロス」が発生するリスクも高まっています。

企業が目先の仕事に注力せざるを得ない状況の中で、「明日をつくる仕事」に取り組む余裕がなくなれば、「大量生産、大量消費、大量廃棄」という、従来型の持続不可能な経済に逆戻りしてしまう可能性もあるのではないでしょうか?

Withコロナの時代、企業に求められるのは、外圧によって変わっていくのではなく「自ら変わる力」だと私たちは考えています。

そのために「社内副業」が活用できるのではないかという問題意識から、サーキュラーHRのイベントして「『社内副業』で自ら変わる組織になる!~Withコロナ&SDGs時代の人材活用セミナー」を開催。

株式会社Azitの油谷大希さん、株式会社エンファクトリーの松岡永里子さんをお招きし、Withコロナ&SDGs時代の社内副業について考えました。

6月5日(金)、オンラインで70名を超える皆様にお集まりいただいたセミナーの模様を、ダイジェストでお届けします。

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社内副業 3つのメリットとは?

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セミナーでは、まずサーキュラーHRの稲葉編集長から、社内副業のメリットや、注意点についてお話しました。

社内副業とは、自分の担当業務(本務・本業)意外に、社内のほかの業務(副業)を行うこと。

ここ数年、丸紅やサイバーエージェント、武田薬品工業などが相次いで導入し、注目されています。

社内副業には、3つのメリットがあると考えられます。

1つ目は、能力を発揮しきれていない社員、活力を失っている社員に刺激やモチベーションを与え、社員の能力開発やリーダーシップの育成につながること。

2つ目は、人材交流による知識・経験のシェアや、そこから新規事業の発想が生まれるなど、組織が活性化すること。

そして3つ目は、社外ではなく社内の人間であることにより、会社のミッションの共有や既存事業の理解、情報管理など、安心・安全性が担保されているということです。

いっぽうで、社内副業には注意すべきこともあります。

多くの場合、本務の上司の指揮命令下に属するため、副業に協力的でない上司の下では活動がしにくいこと。

評価基準や報酬体系、業務時間をどう捻出するかなども統一されたやり方があるわけではなく、各社ごとに試行錯誤しているのが現状です。

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社内副業制度がパラダイムシフトを起こす

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セミナー中盤では、株式会社Azitの人事責任者、油谷大希さんをゲストにお迎えし、社内副業の実例をご紹介いただきました。

油谷さんは新卒で大手人材サービス会社に入社し、社内副業制度の企画・立案を担当された経験をお持ちです。

「自分の能力は世の中で通用しないのではないか」
「このまま今の会社にいてもいいのか」

と悩む社員が多いことを知り、社内副業制度の立ち上げを考えたという油谷さん。

「副業は個人の能力開発が目的と位置づけ、あえて抽象度の高いテーマで、重要度は高いけれど緊急度の低い業務に取り組んでもらうようにしていました」と語ります。

当初は業務時間ではなく、業務外の時間を副業に充てていたため、副業に取り組む社員の、時間の使い方は難しい課題だったそうです。

「本業とのバランスにも苦労しました。本人が副業に意欲を持っていても、本業が多忙な時期だからと、上司がストップをかけてしまうことも考えられます。社内説明会を開くなどの工夫も行いました」

若手社員のみならず、マネージャー層にも広く門戸を開き、実際に制度を利用した管理職の社員からは「新しい経験をしたことでパラダイムシフトが起こった」という声もあったそう。

油谷さんが立ち上げた社内副業制度は、社内で新たな業務にチャレンジしたい社員の潜在的なニーズを引き出す成果が認められ、正式な人事制度として導入されています。

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社内副業で実現する、サステナブルなビジネスのかたち

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油谷さんの実例紹介の後は、再び稲葉編集長が登壇し、Withコロナ時代、SDGs時代の社内副業についてさらに詳しくお伝えしました。

Withコロナ時代には、移動や経済活動が制限され、当面の消費や人出が通常時の7割程度に抑えられてしまう「7割経済」の可能性がいわれています。

このような状況下では、企業が最少人数で既存事業に集中するため、内定取り消しやリストラなど「人材ロス」が生まれやすくなります。

同時に、変化に対応できない企業は、時代に取り残されてしまうかもしれません。

世界経済フォーラムは2021年1月に行う年次総会(ダボス会議)のテーマを「グレート・リセット」と決めました。

世界的にも、これまでの経済・ビジネスのやり方をリセットするタイミングにきています。

中でも、環境・再生エネルギー分野に投資を行い、経済の再生やサステナブルな新規需要・雇用の創出を目指す「グリーンニューディール」や、気候変動を抑え、生態系を守りながら社会を立て直そうとする「グリーンリカバリー」に注目が集まっています。

ここでのポイントは、既存事業に戻るのでも、まったく新しい事業を立ち上げるのでもなく、既存の事業を持続可能型、循環型に変換していくことです。

そのために有効と考えられるのが、社内副業です。

7割経済によって生まれた余力人材が、社内副業で既存事業のリペアに取り組むことで、持続可能なビジネスを生み出すことができると考えています。

自社をよく知る社員だからこそ、新しい価値観を踏まえながらも、既存の事業や組織の在り方を見直していくことができるのではないでしょうか。

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社内副業をサポートするサービス「副業特区」とは?

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ここで、株式会社エンファクトリーの松岡永里子さんが登壇。松岡さんは、社内副業を促進する「副業特区」というサービスの担当をしています。

副業特区では、社内で副業に関心を持つ人が応募するためのシステムや、労務管理システム、社内啓発する仕組みづくりなどを提供しています。

社内副業に興味があるけれど、どこから始めればいいかわからない、継続できるかどうか不安という場合も、このようなサービスを利用するとスムーズに導入することができそうです。

Withコロナ時代の社内副業

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社内副業はまだ事例が少ないため、これからさまざまな工夫をして、経験値を積み重ねていく取り組みです。

あらゆる業種で変革が求められるWithコロナ時代、新たな可能性に満ちた分野ともいえます。

社内副業やグリーンリカバリー、Withコロナ時代の持続可能なビジネスと人材活用について、私たちと一緒に考え、チャレンジしていきませんか?

お忙しい中、セミナーにご参加いただいた企業の皆様、本当にありがとうございました。


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