スタートアップ組織づくりと採用活動のリアル~創業から10名の壁を越えるまで~【イベントレポート】

2023年5月25日に開催したゼロワンブースター×Waris共催ウェビナー「スタートアップならではの人材戦略とは」の開催レポートをお届けします。

今回のウェビナーでは、同じ2019年創業の注目のスタートアップ経営者の2名にご登壇いただき、創業期からメンバー10名を超えるまでに歩んできた組織づくりについてお話をいただきました。

株式会社digzyme様:https://www.digzyme.com/
Siiibo証券株式会社様:https://siiibo.com/

ウェビナ―では非常に活発なご質問も飛び交いながら、具体的な人材戦略への考え方や採用手法までお話が進みました。

ご好評いただいた本ウェビナー内容の一部を抜粋し、下記の形にまとめてお伝えします。

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▼目次

1.創業当時の人材課題と乗り越え方
Q創業メンバーにはないスキル・誰もやったことのない業務をどうするか?
Q本業に向き合うための分業をどうするか?

2.初期フェーズの成長に必要な人材とは
Qバックオフィスに必要な人材とは?
Q採用でのスキルの見極めはどうしてますか?
ー想いはあるけどスキルが不足している応募者について

3.採用活動について
Q活用している採用ルートは?
Q業務委託を活用している職種とは?
Q採用のタイミングは?
ーニーズの先取りか、顕在化してからか

4.入社後のオンボーディングについて

5.まとめ
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1.創業当時の人材課題と乗り越え方

創業から4年目となる両社。これまでを振り返って、そのときどきの人材課題とその乗り越え方についてお伺いしました。

創業メンバーにはないスキル・誰もやったことのない業務をどうするか

「創業者全員が研究者のため、事業開発に関するノウハウがスタート時には不足していました。そのため、創業2年目、シード資金調達の後にCOOを外部から探してきました。」(渡来様)

「エンジェル投資家の方が採用に長けた方であり、お手伝いをいただきました。その結果、ダイレクトリクルーティングを活用してCOOを獲得しました。当時は私一人しかいなかったため、採用に時間を割くと研究や事業推進の進捗が鈍くなってしまっていました。採用活動自体が非常に重たいものであることを再認識しましたね。」(渡来様)

「会社の運営には、必要ですが誰も詳しくない業務(例:株式発行にあたっての契約・登記関連手続き、助成金申請)が常に発生します。これらの業務は、未経験の人が対応すると時間や費用がかかってしまうなど、遠回りになりやすいものです。どのようにこれらの業務を遂行していくか、外部の力を借りるのか、適切な人材の獲得に動くのか、またそのタイミングを見極めることは、課題に感じていました。」(宮崎様)

「弊社では、金融商品取引業者としての登録を行った際も似た状況がありました。証券会社で新規事業を立ち上げた経験がある方はいるかもしれませんが、ゼロから証券会社を立ち上げたことがある方はなかなかいません。既存の証券会社ではあまり行われていない業務も予定していたため、明確なノウハウがどこにもないようなオペレーション設計を行う必要もありました。業登録に特化した外部コンサルタントの力も借りながら、メンバーでも調査を進め、最小限で要件を満たすために足りないピースを特定し、外部からの人材獲得を行っていきました。」(宮崎様)

本業に向き合うための分業をどうするか

「バックオフィスも同じですね。自分でもできるけれど、今振り返ると本業に割く時間が削られていたと思います。健全な企業成長のためには誰かに任せる必要性を感じます。」(渡来様)

「メンバーが数名になったとき、研究室にいた秘書の方に週1日でお願いしました。10名を超えたあたりで一人月程度の業務量になり、新たに人を探しました。」(渡来様)

「弊社も10名を超えたあたりで経理・労務を担当いただく正社員の方を迎えました。経営陣が片手間で行うには、工数が重くなってきたと感じるタイミングでした。」(宮崎様)

2.初期フェーズの成長に必要な人材とは

次に、ご参加者からの質問も活発になった「必要な人物像」「人材の見極め」について、お話いただきました。

バックオフィスに必要な人材とは

「バックオフィスに必要な人材は、いい意味での何でも屋。視野が広く、気が利く人だと思います。社内外の様々な方と関わる時間を通じて、見落とされている業務を拾い上げることや、そのために定例業務の仕組み化を進めていただくことへの期待が大きかったので、正社員採用を行いました。
弊社に入社された方はリファラル経由です。必ずしも専門でない業務にも柔軟に取り組む姿勢や、中長期的に自動化や効率化を進められる能力は、履歴書だけではなかなか見えませんが、一緒に仕事をした経験のある方はよくご存知の部分だと思いますので、リファラルがマッチしていました。」(宮崎様)

スキルの見極め:想いはあるけどスキルが不足している応募者について

「スタートアップは誰もやったことがないことをしているので、『教育コストはだれにでもかかるもの』だと考えています。そのうえで、想いがある方のほうがスキルの吸収力は高い傾向にあると感じています。」(渡来様)

「想いとともに、柔軟性=スタートアップでは避けられない朝令暮改の部分を受け入れられるか は大事だと感じています。ジョイン時に想いが重なっていると感じても、進め方や難しい事態の乗り越え方で考えが一致せず、残念ながら辞めてしまうケースは聞いたことがあります。」(宮崎様)

中長期的な関係性を築くメンバーとして、採用場面ではどのようなすり合わせを意識されているかもお話いただきました。

「これまでの仕事を通して嫌だったこと、しんどかったことをどう乗り越えたかを聞きます。」(宮崎様)

「当社が永続的にあるわけではないということは正直に話します。そのうえで、候補者の方が当社を通してやりたいことはなにか?当社の次のキャリアまでも聞いてしまいます。」(渡来様)

3.採用活動について

活用している採用ルートは?

リファラル以外での主な採用ルートと特徴・活用のコツをお伺いしました。

・ダイレクトリクルーティング
「ハイリスクハイリターンな方法ですね。工数はかかるのですが、よい方を実際に獲得できました。」(渡来様)
「スタートアップの場合、会社を知られていない段階では自然応募はなかなか来ません。まず知ってもらうために、ダイレクトリクルーティングでこちらからスカウトを打ち、カジュアル面談を打診します。どういう人だと関心を持ってもらいやすいか?を反応をみながら試行錯誤して考えています。」 (宮崎様)

・エージェント
「企業の採用の要件・特長を理解してもらって、代わりに動いてもらえる相手かを見極めています。」(渡来様)

・採用ページ(求人掲載)
「スキル要件を明確にできる場合に、特に利用しています。」(宮崎様)

・その他
「研究者採用には専用の求人サイト(JREC-IN)を活用しています。」(渡来様)

業務委託を活用している職種とは?

Warisからフリーランス人材をご紹介をさせていただいている両社に対し、その他含めどのような職種で業務委託を活用しているかをお伺いしました。

・SNS広告運用、デザイナーなど (宮崎様)

・バックオフィス、WEBサイトの改修(コーディネーター)など (渡来様)

採用のタイミングについて
ご参加者からの質問
「企業としてのスケールのタイミングなどに併せて早めに採用の手を打たれていますか?
それともニーズが顕在化してからの動きになりますか?」
に対して、お二人の回答もご紹介します。

「早めに手を打つのはよくないと痛感した経験があります。半年後の動きを察しても予定通りにいかないことも多いので、今はニーズが顕在化してから動くようにしています。」(渡来様)

「同じです。今いるメンバーで始めてみて、うまく行きだして更に人手が必要だとなるまでは動いていません。一方で、エンジニアについては、緊急度は高くないが重要度が高い改善や技術負債の解消を着実に進めていただける人材は、副業・業務委託で常にオープンに探しています。」(宮崎様)

4.入社後のオンボーディングについて

最後に、メンバーが少数かつ多忙の中で、入社された方への育成で工夫されている点についてお伺いしました。

「コンピューター上の解析業務などは、業務中の作業を録画して教育動画にしています。トレーニングプログラムやマニュアルは、最初の入社者のときに作成したものを適宜改定しています。」(渡来様)

「工夫は2点です。1点めは、最初の1週間でメンバー全員と話す機会を設けています。2点めは、メンバーが入社者にレクチャーしていく中で、既存業務のマニュアルを作成・修正してもらうことを最初にアサインしています。そのことで、入社者には業務改善にも意識を向けていただいています。」(宮崎様)

5.まとめ

今回のウェビナーでは、創業期から4年を歩まれているお二人に、そのときどきの人材課題や採用への工夫などについて具体的にお話をお伺いすることができました。

Warisでは、今後もスタートアップ企業の成長を支援するための様々なウェビナーを開催していく予定です。お気軽にご参加ください。

共催企業:株式会社ゼロワンブースター様のご紹介
2012年、「日本を事業創造できる国にして、世界を変える」をMissionとして創業。
『創造をルーティンに』というモットーで、様々なプログラム・サービスを通じて、事業開発・人材開発・組織開発に貢献する事業パートナー。
インキュベーション施設『有楽町SAAI Wonder Working Community』も運営。企業家と対話・交流をしながら、新規事業・新産業創出支援を担っています。
コーポレートサイト:https://01booster.co.jp/
SAAI公式サイト:https://yurakucho-saai.com/

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