スタートアップが取り組みたい広報戦略7選 ~フェーズ別で解説~
BtoBスタートアップ経営者の方々から、
「開発や営業活動を今はがんばりたい。BtoBなので知名度も今は要らないのではないか」
「売上に繋がらないことをやる余裕がなく、片手間でしかやれない」
という声をお聞きすることがあります。
ですが本当に「BtoBスタートアップでは、広報は後回しで良い」のでしょうか?
企業にとっての重要なステークホルダーに、事業の社会的価値をきちんと伝え、ファンになってもらうことが、広報の大切な役割です。時間がかかる活動のため、早く始めることが必要だとWarisは考えます。
この記事では、どこから手を付けていいかわからないという声を頂くことが多い「広報」について、スタートアップフェーズにおける効果的な戦略をお伝えします。
【この記事はこんな方にオススメです】
✓ BtoB事業を展開しており、広報の立ち上げに悩んでいるスタートアップ経営者、マーケティング責任者
✓企業としての広報活動が現状無く、認知獲得に悩んでいるスタートアップの広報PR責任者
✓ハンズオン支援やハンズイフ支援の一環として、広報の重要性を投資先へ訴求したい
ベンチャーキャピタル
▼目次
1. スタートアップ「だからこそ」広報が必要な理由
① 認知と機会を広げるため
② 時間がかかるため
2. スタートアップフェーズ別!立ち上げるべき7つの広報活動
① 広報スタートに必要な準備
② プロダクト広報/事業広報
③ 採用広報
④ 社内広報
⑤ 危機管理広報
⑥ IR
⑦ リブランディング
3. 広報活動に共通する戦略と成果指標の考え方
4. スタートアップの広報活動はフリーランスを活用しよう
1. スタートアップ「だからこそ」広報が必要な理由
① 認知と機会を広げるため
「広報って『メディアから取材依頼があったら対応する』だけの仕事でしょ?」
広報という仕事をこのように捉えていらっしゃいませんか?
広報とは、「ビジョン」実現にむけて、企業を取り巻く必要なステークホルダーと良好な関係を作り、行動への源泉を拡げる活動です。
顧客だけでなく、従業員、求職者、メディア、公益法人、株主や投資家など、自社を取り巻くステークホルダーは様々です。
そのステークホルダーが”行動”を起こす源泉は、“共感” ”信頼感” ”信用”の3つ。
それを獲得するのがいわゆる「攻め」の広報です。「攻め」の広報のメリットは以下の通りです。
・信頼性と専門性の構築
第三者が報じる「ニュース」で客観性が高まり、一般的な信頼を得られやすい
・顧客拡大と成長のための機会拡大
共感/信頼感を喚起し関心をひきつける新しい売上や提携の機会づくり
・コスパが良い
広告費をかけずともメディアリレーションを通じて社会的に大きなトレンドをつくれる
可能性がある
日々市場が変化していく中で、効率的に営業機会を拡大し事業成長を促す広報活動は、スタートアップで必要不可欠なのです。
② 時間がかかるため
「いまはプロダクトの開発や販路開拓で頭がいっぱい。広報は時期尚早じゃないの?」
弊社のスタートアップ企業のお客様からはこのようなお声をいただくことが多々あります。
実は、全く自社サービスを認知していない潜在層に、サービスの概念や仕組み、実現し得る世界観を認知させる役割を、広報が担います。ですので、「広報」は「マーケ」や「営業」、つまり売上に大きく貢献する存在です。
とはいえ、関係性構築には時間がかかり、早くから着手が必要なのです。
いきなりバズることはほぼ無く、「コツコツ」「じわじわ」は急には難しいのが現状。また、小さな成功体験の蓄積が必要で、正解がなく、トライ&エラーを重ねる時間と根気が求められます。
このように、潜在層への認知という面で広報は売上に貢献する存在ですが、スタートアップのうちから広報活動に着手することが事業成功の鍵であると私たちは考えます。
2. スタートアップフェーズ別!立ち上げるべき7つの広報活動
① 広報スタートに必要な準備
法人として事業を立ち上げていく段階の「シード期」では、資金調達元のベンチャーキャピタルや最初の取引先、提携先をいかに早く獲得し、良い関係を築くかが重要となります。
そこで、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の策定により、どんな社会課題をどのように解決していくのかを言語化することが、広報活動のスタートラインとなります。
さらに、そうした経営者自身の考え方をもとに、投資家や従業員、取引先などステークホルダーからの最初の認知をどう獲得していくか、発信方法やそのターゲット、目標などに落とし込んでいきます。
・ビジョン・ミッション(MVV) VIの策定/浸透
社内外アンケート・ヒアリング等の実施~コピーライティング・デザイン等
・発信ツールの策定/改定
ホームページ、会社案内・プレスキット・ノベルティグッズ等の制作
・各種コンテンツ発信にむけた手法や方針の策定
ステークホルダーに届けるための公式ブログ・SNS 等の準備、および運用に必要なターゲットや目標の設定
② プロダクト広報/事業広報
最初のお客様だけでなくマーケットから顧客を獲得しようとする「アーリー期」から特に必要なのが、プロダクト自体広報です。プロダクトの売上を取得することや、その仕組み作り、さらには事業自体の強化を担います。
プロダクト広報は通常、広告出稿や展示会出展・ポップアップストアやイベントなどのマーケティング戦略や、取引先獲得を目的とした営業戦略と、同時進行となります。
リソースが少ないスタートアップでは、兼務体制で1~2名でこうしたことに取り組む例も少なくないでしょう。
ただし上述の通り、広報とマーケティングや営業とでは「時間軸」が異なり、広報は中長期的な目線でマーケットの裾野を広げていくために取り組むものであるという認識が重要となります。
・発信ツールの策定/改定
商品/サービスサイト・リーフレット・ノベルティグッズ等の制作
・プレスリリースの作成・発信
プレスリリースの企画・作成・配信等
・メディアリレーション
情報提供・交換、取材対応、記者向けイベント等の実施等
・各種イベント・キャンペーン開催
顧客/取引先向けイベントの企画開催、キャンペーンの企画実施等
白書/実態調査/ホワイトペーパー等の制作(調査広報)
・各種コンテンツ発信
公式ブログ・SNS 等を通じた情報発信
③ 採用広報
アーリーステージ以降にプロダクト広報と平行して必要になるのが採用広報です。
事業の急拡大(T2D3)を目指すことによって必要な人員も増える中、まだまだ知名度や待遇面で大手と見劣りし、リファラル採用や広告出稿だけでは、なかなかいい人を集められないといった事態に遭遇することが多いのがこの時期。
応募につながるまでの様々な切り口も非常に重要になってきます。
・ツールの策定/改定
採用サイト 会社案内・ノベルティグッズ等の制作
・各種コンテンツ企画・発信
採用ブログ・SNS 等を通じた情報発信
・各種イベント開催
採用候補者向けイベントの企画開催
④ 社内広報
様々な働き方のメンバーが在籍したり、人員の出入りが激しかったりといった「50人の壁」にぶつかりやすい「成長期」のタイミングでは、他の部署の活動や担当外の事業の内容を把握しきれないメンバーが増えてきます。
そこで、社内報など社内情報の流通促進をするのが社内広報です。
社員というステークホルダーにとって、社内広報は「こんなこともしているんだ」や「こんな考え方があるのか」という気づきをもたらす機会。こうした気づきが企業ロイヤリティにつながり、モチベーションアップや離職率の低下が期待できます。
・社内向け発信内容の企画・発信実務
社内イントラ・社内報等の取材・編集・発信
・各種イベント開催
社内イベント(キックオフや社内の季節行事等)の企画開催
⑤ 危機管理広報
スタートアップが成長を遂げ、企業や事業の社会的認知度が高まってくると、情報漏洩や不祥事、クレーム対応やSNS炎上などの経営リスクも同時に高まってきます。
大手企業経営トップによる記者会見やプレスリリース発信、などがよく話題になり、そうしたイメージを持つ方も多いかもしれません。
ですが、「自社はスタートアップだから関係ない」「リスクは少なくこうした準備は不要」ということにはなりません。
むしろ、組織規模が小さいからこそ、大手企業であれば些細にも見えるようなリスクが、あっという間に経営存続を左右する大きな脅威になりかねません。
企業や組織を危機的状況に追い込む被害を最小限に抑え、収束に向けていくために不可欠なのが「危機管理広報」です。
危機管理広報では、トラブル発生後の「クライシス対応」と未然に防ぐための「リスクマネジメント」の2軸で、以下のような対応方針や体制準備を講じておくことが重要です。
・有事の対応方針策定
社内の有事情報の伝達ルート・対応フローの整備、SNSガイドライン策定等
・社内研修の実施、 メディアトレーニング
管理者向け 社員向け研修、社長・広報責任者のメディアトレーニング
・有事対応
有事のプレスリリース対応等
・リスクマネジメント
有事(トラブル)を未然に防ぐためのリスク評価と対応
⑥ IR
上場(IPO)を目指すスタートアップであれば、投資家はもちろん社会的信頼を得るための経営情報開示であるIR(investor relations)も取り組む必要があります。
広報活動の一環として位置付けていますが、実際に立ち上げ、遂行していくためには、これまで説明してきた広報のプロ人材というよりも「投資家や株主向けに開示が必要な情報やそれらの魅力付けに通じている人材」が不可欠です。
具体的には、例えば銀行やベンチャーキャピタル、アナリストなどに近い立場を経験し「投資家や株主向けに開示が必要な情報やそれらの魅力付け」を肌感で理解している方。また海外投資家対応を考えると、英語力も求められる事が多いです。
IPO段階では、上場そのものが大きなゴールであり、また上場後も関係者が他の業務に忙殺されるなどして、IR活動は後手に回らざるを得ない・・・という状況も、IPO準備企業様からよく伺います。
ですので、現実ラインとしては、企業の公式サイトにIR欄を設け、経営情報をディスクローズしていくため必要最低限、何の情報をどこから集めるのか、業務フローと開示情報の範囲を設定することが、スタートアップとしてまず、取り組むべきことになります。
・開示情報
法定開示/適時開示/任意開示ほか情報収集~資料作成、IRサイト等への適宜アップ
・説明会資料
情報収集~資料作成、IRサイト等への適宜アップ
・各種コンテンツ発信
採用ブログ・SNS 等を通じた情報発信
⑦ リブランディング
様々な事業をそれぞれ柱を立てて運営していく企業が増える「成長期」には、「シード期」に策定したMVVを見直すことがあります。
会社が大きくなり、市場も起業当初から変化しているため、今の自社に本当にマッチしているのかという視点で考え、現在のトレンドも加味して再構築します。
スタートアップやベンチャーだけでなく、老舗企業でも、創業者交代や周年タイミングで、リブランディングに取り組むこともよくあります。
・ビジョン・ミッション(MVV) VIの改定/浸透
社内外アンケート・ヒアリング等の実施~コピーライティング・デザイン等
ちなみに私たちWarisでも、創業10年間を機にリブランディングに取り組みました。エージェント事業を軸として活動してきていますが、よりそれを包括しつつ、目指すMVVを見つめ直し「キャリアシフトプラットフォーム」という私たちらしいブランディングを再構築しました。
3. 広報活動に共通する戦略と成果指標の考え方
実際に立ち上げるためのステップや、成果の測り方は、どの広報活動も共通しています。
具体的には、「Who」「What」「How」をいかに組み合わせていくか、また、PDCAを回して本当にこれでよかったのかを常にチェックしながら広報活動を立ち上げていくことが大切です。
おすすめは、「成果」と「行動」をかけ算して成果を考えること。
「成果」は認知が獲得できたかどうか。最近はSNSで広報を始める企業様も増えてきているので、フォロワー数や反応数も有効です。
「行動」は、どれだけ行動できたか。リリースの本数やSNSの投稿数などです。
コツコツと「行動」することが、認知獲得という「成果」を創出します。
スタートアップにおいて、広報は事業成長に不可欠な活動です!企業のフェーズや目指したい姿に沿って、広報活動を立ち上げ取り組んでいきましょう。
4. スタートアップの広報活動はフリーランスを活用しよう
ヒト・モノ・カネ・情報といったリソースが潤沢にあるとは言えないスタートアップ・ベンチャーにとって、広報活動を誰に担ってもらうか、は非常に悩ましい問題と言えるでしょう。
「広報の経験豊富な正社員を採用するほどの業務量は無い・・・」
「成果はもちろん期待したいものの、広報PR代理店に発注するほどの予算は無い・・・」
「単発的な成果を期待するだけでなく、広報機能を確実に立ち上げるために指導役が欲しい・・・」
こうした状況においては、広報PRに関するプロ人材(フリーランス)へ、個人として依頼することを積極的に検討することをおすすめします。
広報PRにおいてフリーランスを活用するメリットは大きく3つあります。
① 実務レベルから、企画・戦略の壁打ち役、育成役、アドバイザーまでさまざまなバリエーションのなかから選ぶことができる
② スタートアップにおいて必要な広報活動を、プロジェクト型やミッション型でミニマムに立ち上げられる
③ あくまで個人のため、正規雇用にかかる人件費や、広報PR代理店への発注にかかる費用と比較するとリーズナブルに発注できる
メリットについては、広報・PRの業務委託にフリーランスが最適な3つのメリットでも詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
▶広報・PRに強い人材を検索してみる(人材検索)
https://waris.jp/front/partner
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