フレックスタイム制はなぜ普及しない?5つの原因と成功のポイント

フレックスタイム制は、1988年から続く制度です。働き方改革やリモートワークの広がりで注目を集めましたが、実際に導入している企業は一部にとどまっています。

「社員から要望があるのに、なぜうちでは進まないのか」「導入したいが、運用が回るのか不安」。そんな悩みを抱える人事・労務担当者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、フレックスタイム制が普及しない原因を5つに整理したうえで、導入を成功させるポイントと、社内のリソースが足りないときの打ち手を解説します。

1. フレックスタイム制の導入率は?普及が進まない現状

フレックスタイム制の現状を、まず制度と導入状況の両面から確認します。

フレックスタイム制は、あらかじめ定めた期間(清算期間)の総労働時間の範囲内で、従業員が日々の始業・終業時刻を自分で決められる制度です。1987年の労働基準法改正を受けて、1988年4月に導入されました。2019年4月の法改正では、清算期間の上限が1か月から3か月に延長され、月をまたいだ労働時間の調整もしやすくなっています。

それでも、普及は限定的です。厚生労働省の「就労条件総合調査」でも、フレックスタイム制を採用している企業は一部にとどまっています。とくに企業規模による差が大きいのが特徴で、大企業では導入が進む一方、中小企業では低い水準にとどまる傾向があります。業種でも差があり、自律的に働きやすい情報通信業などで導入が進んでいます。

2. フレックスタイム制がなぜ普及しないのか|5つの原因

導入が進まない背景には、制度の複雑さと運用面のハードルがあります。代表的な5つの原因を見ていきましょう。

勤怠管理・労務管理が複雑になる

フレックスタイム制では、1日8時間・週40時間を超えて働いても、ただちに時間外労働にはなりません。時間外労働は、清算期間の法定労働時間の総枠を超えた分で判断します。清算期間が1か月を超える場合は、1か月ごとの労働時間が週平均50時間を超えた分も時間外労働となります。

導入には、労使協定で基本的な枠組みを定め、就業規則等に「始業・終業時刻を労働者の決定にゆだねる」ことを定める必要もあります。この手続きと、勤怠システムの対応、残業代の計算を担う負担が大きく、専任の人事・労務担当がいない企業ほど二の足を踏みがちです。

業種・職種によって導入しにくい

顧客対応や店舗運営、シフト制の現場、取引先の営業時間に合わせて動く職種では、働く時間帯を個人に委ねにくいのが実情です。他部署や取引先との連絡が多い職種では、商談や打ち合わせの調整に支障が出るおそれもあります。全社一律の導入が難しく、「一部の部署だけ」の運用に二の足を踏む企業も少なくありません。

社内の連携・コミュニケーションが取りにくくなる

出社・退社の時間がばらつくと、会議の設定や急ぎの相談が難しくなります。チームで進める仕事では、「いま誰が稼働しているのか」が見えにくくなり、連携の手間が増えます。コミュニケーションの設計をしないまま導入すると、かえって業務効率が下がると判断され、制度が定着しません。

業務の属人化と評価の難しさ

フレックスタイム制は、時間ではなく成果で働き方を管理する発想が前提です。ところが、誰が何をしているのかが見えにくい職場では、管理職が「目の届かないところで働かれる」ことに不安を感じます。業務が特定の人に偏っている状態では、その人の不在時間が業務停止につながるため、柔軟な働き方を認めにくくなります。

運用ルールが形骸化しやすい

コアタイムは法令上必ず設けるものではありません。一方で、コアタイムが長く、フレキシブルタイムが極端に短い場合は、始業・終業時刻を労働者の決定にゆだねたことにならず、フレックスタイム制とはみなされません。制度として導入しても、実態が固定時間制と変わらなければ、従業員の満足度は上がらず、「導入しても意味がない」という評価につながります。

3. 導入を成功させるための4つのポイント

原因が見えれば、対策も立てられます。次の4つを押さえることで、運用のハードルは大きく下がります。

業務の見える化と属人化の解消から始める

最初に取り組みたいのは、業務の棚卸しです。誰が何を担当し、誰が代わりに対応できるのかを可視化し、業務を共有・標準化します。属人化を解消することが、柔軟な働き方を支える土台になります。

コアタイムと清算期間を自社に合わせて設計する

コアタイムは、会議や相談が集中する時間帯に絞って短めに設定するのが基本です。コアタイムのない「スーパーフレックス」もあります。清算期間は、まず1か月から始め、運用に慣れてから延ばす方法もあります。職種や部署の実態に合わせて設計しましょう。

勤怠管理の仕組みを整える

清算期間単位での労働時間の集計や、総枠を超えた時間外労働の把握を、手作業で行うのは現実的ではありません。フレックスタイム制に対応した勤怠システムを導入し、従業員・管理職の双方が労働時間の状況を確認できるようにします。

部署単位でスモールスタートする

全社一斉の導入ではなく、導入しやすい部署から始める方法もあります。課題や改善点を洗い出してから対象を広げれば、現場の混乱を抑えられます。

とはいえ、制度設計や労務の知見が社内に不足している場合は、外部のプロ人材を活用する方法もあります。
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4. 導入・運用の人手が足りないときは、外部の人事・労務人材も選択肢に

フレックスタイム制の導入は、制度を決めて終わりではありません。業務の棚卸し、労使協定や就業規則の整理、勤怠システムの選定、試行導入と見直しなど、やるべきことが多岐にわたります。これを通常業務と並行して担当者1人で進めるのは、現実的に厳しいケースも多いでしょう。

そこで、導入準備の一部を、人事・労務の経験を持つプロ人材に任せるという方法があります。たとえば、次のような業務は外部に切り出しやすい領域です。

  • 業務の棚卸しと標準化:誰が何を担当しているかを可視化し、属人化を解消する設計を進める
  • 労使協定・就業規則の改定準備:論点を整理し、たたき台をつくる(法的な判断が必要な部分は、社会保険労務士などの専門家にも確認する)
  • 勤怠システムの選定・導入支援:要件整理からベンダー比較、運用ルールの整備まで
  • 試行導入部署の運用設計:コアタイム・清算期間の設計と、開始後の振り返り・改善

Waris(ワリス)には、人事経験を持つプロ人材(フリーランス・副業)が登録しており、登録者の約18%が人事経験者です。週2〜3日・リモート中心といった柔軟な稼働にも対応できるため、導入準備の期間だけ専門人材を迎える使い方もできます。選考の面談通過率は約17%、6か月以上の契約継続率は98%(2022年度実績)と、マッチングの質も重視しています。

採用・育成・組織課題、プロ人材が力になります

まとめ:普及しない原因は「制度」より「運用の土台」にある

フレックスタイム制が普及しないのは、制度そのものが悪いからではありません。勤怠管理の複雑さ、業種による向き不向き、連携の難しさ、属人化、形骸化。こうした運用面のハードルが重なっていることが大きな要因です。

業務の見える化から始め、自社に合った設計で、小さく導入して広げる。この進め方なら、無理なく定着させられます。導入準備の人手が足りない場合は、人事・労務の経験者を外部から迎える方法もあります。まずはお気軽にご相談ください。

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