リスキリングの意味とは? リカレント教育との違いと事例について
「リスキリング」は政府が推進する「人への投資」の中で重点施策として位置づけられたこともあり、テレビや新聞などのメディアや大企業からの注目度が高くなっています。
この記事では、リスキリングの意味やリカレント教育との違いを、リスキリングの事例と合わせてご紹介します。
市場ニーズの高いスキルを獲得できるリスキリング講座「キャリアシフトプラットフォーム」
▼目次
1. リスキリングの意味とは?
2. 「リカレント教育」や「学び直し」との違い
3. リスキリングが注目される背景
4. 企業のリスキリングと個人のリスキリング
5. リスキリングの事例
6. リスキリングで自分らしいキャリアを実現する
1. リスキリングの意味とは?
リスキリングとは、「新しい職業に就くため、または今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得すること/させること」(※1)といわれており、主に企業の人材戦略の一つとされています。
企業はこれまでも社員教育の中でこれらのことは行ってきていました。
ですが近年、特にデジタル化によって、これまでにはなかった新しい職業や生まれたり、仕事の進め方が大きく変化する中で、それらに対応するために新しいスキルを習得することの重要性が増しています。
2. 「リカレント教育」や「学び直し」との違い
リスキリングとよく似た概念として「リカレント教育」があります。
リカレントは反復を意味する言葉で、働くことと学ぶことのサイクルを繰り返す手法です。
リカレント教育は新しいことを学ぶために「職を離れること」が前提となっていることに対して、リスキリングは「新しいことを学び、新しいスキルを身につけ実践し、そして新しい業務や職業に就くこと(※2)」といわれます。
また、リスキリングは「学び直し」と訳されることも多いですが、「学び直し」は個人が自身の関心も基づいて様々なことを学ぶこと、とされています。
これに対して、リスキリングは「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること(※3)」であり、より仕事と直結しているものであることが大きな違いといえるでしょう。
3. リスキリングが注目される背景
リスキリングが注目される背景として、近年の世界的なデジタル技術の発展により、企業のビジネスモデルや企業カルチャーにおいて急速な変化が起こり、それに適応することのできるスキルや知識をもった人材確保の重要性が高まっていることが挙げられます。
2013年にアメリカで発表された論文「雇用の未来(The Future of Employment)」では、20年後までに人類の仕事の47%がAIまたは機械によって代替され、消滅するという予測がされました。
その後、日本でもコロナ禍を経て、コンビニエンスストアにおける無人レジの拡大や、レストランにおける配膳ロボットの導入など、様々な領域でそれまで人が担ってきた業務の機械へ置き換えが始まっています。
また、近年の企業におけるDXシフトもリスキリングが注目される大きな要因となっています。
独立行政法人情報処理推進機構の「DX白書2021」では、DXおける重要な課題の1つとして人材の確保があげられる一方で、日本企業では、DXを担える人材の量が不足していると回答した企業が76%、質が不足していると回答した企業78%という結果となりました。
多くの企業はDXに必要な人材の量も質も不足していており、デジタルスキルを持った人材確保の重要性は大きく高まっているといえるでしょう。
4. 企業のリスキリングと個人のリスキリング
リスキリングは、デジタル社会の中で企業が自社の事業やサービスを変革し、生き残っていくための人材戦略の1つとして位置づけられるため、基本的にリスキリングの機会提供や実施主体は企業(または国家)にあるとされています。
実際に日本でも、富士通や日立製作所などの大企業を中心に具体的なリスキリングの取り組みが始まっています。
いっぽうで、日本の労働人口の多くをしめる中小企業の従業員や非正規社員、フリーランス、離職中の方など、現在、大企業に属していない個人のリスキリングに対しての取り組みは相対的に遅れているようです。
株式会社Warisが2022年9月に発表した「女性のリスキリング白書2022(※4)」では、リスキリングという言葉の就業形態別の認知率は、正社員が47%であったのに対して、非正規は21%、離職中は32%となりました。
就業形態によってリスキリングの実態には大きな差異があり、非正規社員ない、もしくは大企業に属さない「個人のリスキリング」は今後大きな課題となっていくでしょう。
5. リスキリングの事例
企業が行っているリスキリング事例ではなく、個人が主体となって学び、仕事につなげたリスキリング事例を2つご紹介します。
■ 事例1:IT業界未経験からSalesforceを学び、就労に至るまで
IT業界未経験からセールスフォースが提供するリスキリングプログラムを経て、大手IT企業に就業された松下さんのリスキリング事例です。
~リスキリング実践者の声~
「元々IT業界に興味はあったものの、プログラミングやWEBデザインの様な知識を、短期的に得て就労を目指すというのは、未経験者の私にとっては少し難易度が高いと感じていました。
しかしながらPathfinderプログラムで学ぶSalesforceは、働く現場をより良くするための知識だからこそ、学びをそれまでの経験と結び付けやすく、また他業界の経験があるからこそ、実務に入っても、現場でのDX導入時の課題を理解する事に役立つのではと考えています」
詳細記事:IT業界未経験からPathfinderプログラムでSalesforceを学び、就労に至るまで
■ 事例2:地方在住でもフルリモートで全国各地のメンバーと働ける
ブランク期間を経て、未経験からWeb広告運用講座を受講し、大手インターネット広告企業に就業された大脇さんのリスキリング事例です。
~リスキリング実践者の声~
「初めて学ぶ内容を動画視聴するだけでは、実際に自分の理解度は図ることはできません。しかし、約1か月半のプログラムにおいて、課題やテスト、実際にレポートを作成し提出するという実践的なカリキュラムがあったので、改めてそのタイミングで自分の理解度を図ることができ復習することができました。
また何か不明点があれば講師の方とのSlack上で質問しオンタイムで解決することができましたし、計4回のメンタリング(1回30分)で直接お話できたことも大変ありがたかったです。」
詳細記事:フルリモートのため、地方住まいですが全国各地の方々と一緒に仕事ができています
6. リスキリングで自分らしいキャリアを実現する
リスキリングは話題のキーワードとして耳にしたことはあるものの、自分にとってどんな価値があるのかをつかみ切れていない方が多いようです。
しかし、新しいキャリアを目指すビジネスパーソンにとって、今後重要なキーワードとなっていくでしょう。
自分らしくリスキリングを行い、新しいキャリアを実現していくためのヒントになりましたら幸いです。
市場ニーズの高いスキルを獲得できるリスキリング講座「キャリアシフトプラットフォーム」
【合わせて読みたい】
リスキリングで何を学ぶべき?自分に合った講座を選ぶ方法
リスキリングに年齢は関係ある?注目分野は?
【出典】
※1:経済産業省/リクルートワークス研究所
※2、3:『自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング』(後藤 宗明著/能率協会マネジメントセンター)
※4:女性のリスキリング白書2022 ~就業形態別のリスキリングに関する調査レポート~(株式会社Waris)