フリーランスが老後に備えるには?必要な貯蓄額と資金対策について

こんにちは。
Waris共同代表・フリーランス協会理事、キャリアコンサルタントの田中美和です。

多様な働き方がしやすくなった昨今、フリーランスを選ぶ人が増えてきました。

いまフリーランスとして活躍している人や、これからフリーランスを目指す人の中には、老後の備えについて不安を抱いている人も多いのではないでしょうか。

実際、フリーランスは収入に波があることが多く、特に老後資金に関しては、何も対策をしていないと生活に困る場合もあります。

そこで今回は、「フリーランスの老後の備えはどうしたらいいのか?」についてお話ししていきます。

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▼目次
1. 社会保険だけでは老後の備えとして不十分
1-1. 老後に必要な貯蓄額は?
1-2. フリーランスが受け取れる年金額は?

2. フリーランスの老後資金対策
2-1. ねんきん定期便で年金を確認する
2-2. 付加年金を払う
2-3. 小規模企業共済に加入する
2-4. iDeCo/つみたてNISAを利用する
2-5. 複業をやってみる

3. 早いうちから資金計画を立てよう


1. 社会保険だけでは老後の備えとして不十分

老後に必要な貯蓄額は?

まず、一般的に老後どれくらいの生活費がかかるのかを考えてみましょう。

生命保険文化センターが行った調査を確認することで、老後に必要になってくるおおよその貯蓄額が見えてきます。

・最低限の老後生活費は月額平均22.0万円
・ゆとりのある老後生活費は月額平均34.9万円

参考:老後の生活費はいくらくらい必要と考える?|生命保険文化センター
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1141.html

年齢や場所、家族構成などによって一概には言えませんが、老後に必要な貯蓄額は「月額25万〜35万円」ぐらいと考えて良さそうです。

続いて、老後の備えに欠かせない国民年金について確認していきましょう。

フリーランスが受け取れる年金額は?

老後の備えとして代表的な国民年金ですが、65歳以降にもらえる老齢基礎年金は年額77万7800円。

月額に換算すると約6万4816円です。

参考:令和4年4月分からの年金額等について|日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2022/202204/040103.html

頼みの綱の国民年金ですが、これだけで十分に生活していけるだけの額ではないですよね。

フリーランスは厚生年金に加入していないので、年金受給額そのものが少ない傾向にあるうえ、退職金もありません。

50代や60代になった時に貯金がまったくなかったり、お金の管理を若い頃からしっかりと行っていなかったりすると、老後は生活苦に陥ってしまう恐れがあります。

2. フリーランスの老後資金対策

フリーランスは、社会保険だけに頼っていると、老後の生活が非常に厳しくなるということが分かりました。

そのため、会社員と比べると、より多くの老後資金を用意しておく必要があるといえます。

ではここからは、老後の資金を準備する上でやっておきたい対策をお伝えしますね。

ねんきん定期便で年金を確認する

まず、自分が将来どれくらいの年金をもらえるのかを把握するために、ねんきん定期便を確認しましょう。

ねんきん定期便とは、毎年誕生月に自分の年金記録を記載した情報を、国からお知らせしてくれるものです。

具体的には、ねんきん定期便に書かれている「3、これまでの加入実績に応じた年金額」を見ると、将来の年金額がすぐにわかります。

また、20〜60歳までずっとフリーランスであれば厚生年金はまったくありませんが、会社員として働いた経験があれば厚生年金分の上乗せがあるはずです。

将来年金を受け取ることができるかどうか、確実かつ手軽に確認できるので、必ず把握しておきましょう。

付加年金を払う

付加年金は、国民年金の保険料に毎月400円を追加で納めることで、将来もらえる国民年金に上乗せして受け取ることができるというものです。

手続きは、住んでいる市区町村役場で申し込みができます。

付加保険料(年額4,800円)は所得から控除されますし、2年で元がとれるお得な制度なので、フリーランスの人はぜひ利用しましょう。

参考:付加保険料の納付|日本年金機構
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo/fukanofu.html

小規模企業共済に加入する

小規模企業共済は、小規模企業や個人事業主のための退職金を作る制度です。

毎月1,000円〜70,000円まで自由に掛金を設定でき、加入年月が長ければ長いほど受け取れる金額が大きくなります。

また、廃業時には積立額を受け取れるだけではなく、病気やケガ、資金繰りに困ったときなど「いざというとき」に使える貸付制度もあり、掛金は全額所得控除できます。

節税をしながら自分の退職金(老後の資金)を用意することができるので、フリーランスにとって心強い味方だといえるでしょう。

参照:小規模企業共済 加入をご検討の方|中小企業基盤整備機構
https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/entry/index.html

iDeCo/つみたてNISAを利用する

iDeCoやつみたてNISAといった、いわゆる「投資」という言葉を聞いてネガティブな気持ちになった人もいるかもしれません。
ですが、超低金利時代のいま、お金を銀行に預けていてもほとんど増えません。

また、少子高齢化などにより、年金だけで国民の生活を支えることが難しくなったので、国は国民一人ひとりが「自分で」老後資金を作ることを推奨しています。

そこで生まれたのが「iDeCo」や「つみたてNISA」です。

iDeCoは、自分で掛金を積み立てて、金融商品を選んで投資し、運用成績に応じた額の年金を60歳以降に受け取るというものです。

掛金が全額所得控除され、運用益が非課税になるので節税メリットが高いことが特徴です。

ただし、60歳になるまでお金を引き出すことができません。

不安な人は、まずはいざというときに引き出せる「つみたてNISA」もおすすめです。

つみたてNISAで少額から長期積立・分散投資ができますし、投資先は信頼性の高い金融商品のみに限られているので、投資の入口としては最適な制度です。

参考:iDeCoの概要|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/kyoshutsu/ideco.html

参考:つみたてNISA|金融庁
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/index.html

複業をやってみる

フリーランスの人で、すきま時間があるという人は、その時間を利用して別の仕事に挑戦するのも良いでしょう。

最近では、複数の職種で働くパラレルワーカーという言葉が一般化してきています。

普段の仕事と離れて、本業とは異なることを週に数回でもやってみるのはいかがでしょうか?

月2〜3万円でも収入が増えれば、それだけでも貯金や投資にまわせるお金がアップしますよ。

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3. 早いうちから資金計画を立てよう

フリーランスは定年はなくても、いつまでも働けるとは限りません。

退職金も社会保険も充分ではなく、社会や経済の影響もダイレクトに受けやすいというデメリットもあります。

ゆとりある老後のためにも、できるだけ早く資金計画を立て、老後の資産づくりを始めていきましょう!

 

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Waris共同代表・国家資格キャリアコンサルタント
田中美和

大学卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現日経BP社)入社。編集記者として働く女性向け情報誌「日経ウーマン」を担当。フリーランスのライター・編集・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年多様な生き方・働き方を実現する人材エージェントWarisを共同創業。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』。一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリア ・フリーランス協会」理事