保育料は経費になる?フリーランスのための確定申告

フリーランスとして独立すると、会社が代行してくれていた税金の手続きも、すべて自分の責任で行うことになります。

特に、子育てをしながら働く方にとって、「子どもの保育料は経費になるの?」という問いは、家計と事業の両方に直結する切実な問題です。仕事用の服や、クライアントに会うための美容院代は?――こうした日々の支出をどう捉えるかは、自分らしいキャリアを築くための大切な一歩と言えます。

今回は、多くの女性フリーランスのサポート経験を持つ税理士の日下部寿子さんに、単なる節税テクニックではない、自律したプロフェッショナルとしてのお金との向き合い方について伺いました。

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Q. 何が経費として認められる?子どもの保育料は経費になる?

「何が仕事の経費として認められるのか?」という問いの答えは、いたってシンプルです。

ご自身が胸を張って「これは仕事のために使いました」と言えるものは経費になります。

たとえば、取引先とコーヒーショップで打ち合わせをした際のコーヒー代は、誰に聞かれても堂々と「経費です」と答えられるはず。ですが、仕事を終えた後、一人で休憩しながら飲んだコーヒー代を経費として計上するのは、少し後ろめたい気持ちになるのではないでしょうか。

その観点で見ると、仕事をするために子どもを保育園やベビーシッターに預けた場合、現在の税法では、その費用は育児という「家事」にかかる費用(家事費)と判断され、残念ながら仕事の経費にはなりません。

「仕事をするために必須なのに、なぜ?」と、理不尽に感じてしまいますよね。これは、現在の制度が、多様化するフリーランスのような働き方の実態に、まだ追いついていない側面があるからです。

だからこそ、私たちフリーランスは、こうした「事業に不可欠でありながら、経費にできない費用」が存在することを前提に、事業計画や料金設定を行う戦略的な視点が不可欠になります。この支出をしっかり吸収できるだけの収益構造を、自ら設計していく必要があるのです。

Q. 仕事用のスーツや美容院代は経費になる?

仕事用に購入した洋服はどうでしょう。

この場合「仕事のときにしか着られないものかどうか」がポイントになります。

職場で決められた制服や作業着なら経費になりますが、スーツなどは子どもの授業参観や、友達と会うときにも着ることができると考えられるので、一般的には経費にはなりません。

美容院代も同様です。モデルのお仕事をしている方なら経費にできると考えられますが、一般的な総合職では難しいでしょう。

ただし、仕事のPRのためパンフレットを作成する場合などのヘアメイク代は、経費として記帳して問題ありません。

Q. 自宅で仕事をしているのですが、家賃や光熱費は経費になる?

はい。経費になります。

ただし、「家事按分」と言って、家事のために使った分と仕事の分を分けて考える必要があります。

たとえば、家の面積の4分の1をオフィススペースとして使っているなら、家賃の4分の1を経費として計上することができます。

電気料金などの光熱費も同様です。パソコンやスマートフォンなどの通信費も、毎月の使用実績のうち仕事用に使っている分を経費にすることができます。

いずれも、税務署から説明を求められた際に合理的な根拠を示すことができるよう、基準をしっかりと決めておきましょう。

Q. クレジットカードで支払った経費は、どのタイミングで記帳すればいい?

支払いをした日付と引き落とし日の両方で記帳します。

確定申告では「発生主義」という考え方が基本となり、実際の支払いや引き落としの日付に関わらず、取引が発生した日に記帳します。

たとえば、2025年12月にクレジットカードで支払った経費が、2026年1月に引き落とされても、帳簿の上では12月の支出になります。

収入に関しても同様です。

2025年12月に稼働した仕事の報酬が、2026年1月に振り込まれるとしても、帳簿上は12月の収入となり、2025年度分として申告することになります。

確定申告は、フリーランスにとって年に一度の「事業と向き合う」大切な機会です。経費の仕分けに迷った時は、「これは未来の自分への投資と言えるか?」という基準に立ち返ることで、判断の軸が定まります。

日々の記帳は、単なる作業ではありません。それは、自身の事業の状況を客観的に把握し、次の一手を考えるための、最も重要な経営活動です。

お金の流れを自分で管理し、事業を育てていく。その手応えこそが、フリーランスという働き方の醍醐味であり、自分らしいキャリアを築いていく力になるはずです。

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■ プロフィール

税理士 日下部寿子

税理士法人・税理士事務所での8年間の勤務経験に加え、国内生保系資産運用会社の社員として、12年間にわたり、有価証券報告書作成、税務調査及び監査法人監査対応、総務・人事業務などを担当した経験を持つ。2015年、北区赤羽に日下部寿子税理士事務所を開業。会社員経験を活かし、法人・個人事業主の「税務・会計のホームドクター」として、確定申告や相続税に関することから経理に関することまで、幅広く相談を受け付けている。
http://www.kusakabetax.com/


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